前出のAさんがこう話す。 

「賃金が正当に払われなかったり、長時間勤務を強いられたりしている友人がいます。メンタルがやられて、どんどん病んでいっています。週40時間働いているのに、月給5万円という人もいます」

 これらは“ブラックインターン”と呼ばれる働き方だ。

 こうした状況については大学側も認識しており、学生に向けて警鐘を鳴らしている。

長時間労働の影響で学業はおろそかに

 早稲田大のキャリアセンターは昨年8月から公式ホームページ(HP)上に、「【注意喚起】インターンシップを装ったブラックバイトに注意!」と題したお知らせを掲載している。

早稲田大学のホームページから

 同センターの担当者は、「実際に学生からトラブルの相談がありました」と回答。「業務委託契約を結ばされ、時給での支払いをされなかった」「時給換算したところ最低賃金に届かないケースがあった」「契約当初とは違う業務内容を後出しで提示され、長時間労働につながった」といった内容だ。なかには、長時間労働の影響で学校の講義を休むなど、学業に影響が出ている学生もいたという。

 同志社大も「インターンシップという名の罠に注意!」と大学のHPにお知らせを載せた。担当者がこう話す。 

同志社大学のホームページから

「学生からトラブルの相談がありました。“タダ働き”させられるなど悪質なケースが2年前に目立ったので、大学としても注意喚起しました。 

 別の私立大のキャリアセンターも内情をこう打ち明けた。

「コロナ禍以降にこうしたブラックインターンのトラブルが出てきました。学生の売り手市場が続いており、企業も早めに学生を確保しようとするため、就活がどんどんと早期化しています。学生時代にがんばったことではなく、現在進行形で頑張っていること、が就活で使われるようになりました。コロナ禍で課外活動ができなくなった学生らに、『長期インターンをしておけば就活に有利になる』という誤った情報が根付くことになったんです。ベンチャー企業は人手不足なところが多く、そのなかで悪質な企業が学生のそうした状況に目を付け、うまく使いはじめたんです」

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オフィスがあるはずの場所に行ってみると……