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 学生をできるだけ早く確保したい企業が新卒の採用選考を早めている影響で、売り手市場にもかかわらず、就職活動に危機感を募らせる学生が増えている。そうした学生の多くが「ガクチカ」(学生時代に力を入れたこと)を充実させるべく、取り組んでいるのがインターンシップだ。なかには1年生から始めている学生もいるといい、入学と同時にすでに就活が始まっているような状況だ。一方、そうした学生の焦りに付け入り、長期にわたって低賃金で働かせる“ブラックインターン”も生まれている。「大手人気企業への就職に有利」「キャリア形成に最適」「稼げる」といった文句で学生の興味を引き、長期インターン生として自社で雇い、安い給料で人手不足を補うやり方だ。インターンに潜む危険性を探った。

【画像】ブラックインターンへの注意喚起をする早稲田大、同志社大

 都内の私立大学2年の女子学生のAさん(20)は、昨年末からIT企業で、長期インターンとして1日4時間で週3日ほど、マーケティングの仕事をしている。時給1300円で交通費も出る。

「ベンチャー企業で長期インターンを経験しておけば、就活に有利だと大学の友達から聞いて。だから私も始めました」

 それまではインカレサークルに所属したり、飲食店でバイトしたりするなど学生生活を満喫してきたが、2年生の段階ですでに「就活」にかじを切った。

2年から始めても「出遅れたくらい」

 とはいえ、Aさんがとりわけ早い時期から始めているのかというと、そうでもないようだ。

「私の周りはもっと前からインターンに応募し、すでに働いています。私はどちらかというとようやく、という感じで、むしろ出遅れたくらいです」(Aさん)

  Aさんによれば、長期インターンの勤務先を見つけることは簡単だという。友人を通じての紹介もあれば、インターン先をあっせんする企業やサイトなどもある。

 あるサイトを見ると、さまざまな会社の長期インターンが紹介され、勤務地や職種、時給などが書かれており、アルバイトの募集にも似ている。違うのは、各企業の募集文句だ。

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インターンへの参加率は最高値を記録