降格組では、ジュビロ磐田の戦力が整っている。エースFWジャーメイン良に加えて左MFの平川怜、CB鈴木海音らが退団したが、最前線にはマテウス・ペイショット、渡辺りょうの2枚が健在で、新たにトップ下に佐藤凌我(←アビスパ福岡)、左サイドには為田大貴(←セレッソ大阪)、さらにドリブラーの倍井謙(←名古屋グランパス)を獲得。さらにボランチに金子大毅(←京都サンガ)、CBに上夷克典(←サガン鳥栖)といった実力者たちを各セクションに加え、トータルの戦力収支はプラスと言える補強を敢行した。新たに就任したジョン・ハッチンソン監督は前線からの積極的なプレスとハイライン、GKを含めたビルドアップによる攻撃サッカーを志向しており、そのスタイルが早期に浸透することができれば長崎、山形との“3強争い”になると予想する。
同じ降格組の北海道コンサドーレ札幌も上位を争うはずだ。CB岡村大八やFW鈴木武蔵、MF浅野雄也、MF菅大輝らの主力が退団したことで戦力低下が危惧されるが、MF高嶺朋樹(←コルトレイク)の3年ぶりに古巣復帰を果たし、即キャプテンに就任したことからも期待は大きい。主力の退団はあったが、DF大崎玲央、DFパク・ミンギュ、MF近藤友喜など選手は揃っており、大器FW中島大嘉もレンタルから帰還して期待したいところ。7年続いた“ミシャ”ペトロヴィッチ監督に代わって新たにチームを指揮する岩政大樹監督の下、どれだけ早く自信を取り戻して“勝ち癖”をつけられるか。選手の顔ぶれを考えると、プレーオフ圏内から外れるチームではない。
一方、もう一つの降格クラブであるサガン鳥栖は、苦しい戦いが予想される。昨季J1最下位に沈んだチームから、大砲FWマルセロ・ヒアンを奪われ、FW富樫敬真、DF山﨑浩介、DF原田亘、GK朴一圭と主力組が他クラブへと移籍した。その代わりにFW山田寛人、MF西川潤(←ともにセレッソ大阪)、新井晴樹(←水戸ホーリーホック)、DF森下怜哉、小川大空(←ともに愛媛FC)、GK泉森涼太(←鹿児島ユナイテッドFC)らを加えて若返りには成功したが、その分だけチーム全体の完成度は低い状態からのスタートになる。優秀な下部組織の存在はクラブの価値を高めるものだが、J1昇格を狙うクラブというよりも「育成クラブ」との印象が強いメンバー構成となっている。その部分で、新たに就任した小菊昭雄監督がどうチームをマネジメントするか。このまま「J2沼」にハマり込んで抜け出せなくなる危険性も孕んでいると言える。