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働き方やライフスタイルが多様化し、自分らしい生き方を選ぶ時代。人生のポジティブな選択肢の一つとして「離婚」を考える人も増えてきました。とはいえ、離婚後に生活が想定外に苦しくなることは避けたい。離婚とお金について離婚カウンセラーの岡野あつこさんに聞く連載。最終回のテーマは「老後の生活設計」についてです。

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 同居期間が20年以上だった「熟年離婚」の割合が2022年に過去最高となった。寿命が延び、人生100年時代も現実的となったことで、「寿命まで」と耐えていた夫婦も離婚を選ぶように。死ぬまで待てないのだ。老後はもう夫の収入に頼らないで生きていく。経済的に自立さえできれば私は大丈夫――。そう妻たちは決断していく。

 自身も2度の離婚を経験した離婚カウンセラーの岡野さんはこう話す。

「離婚したほうがお金持ちになれる熟年離婚っていっぱいあるんです」

離婚に踏み切れるようになった

 大きいのは「年金分割制度」の存在だろう。

「年金分割制度の導入により、会社員の夫と専業主婦の妻が離婚した場合、婚姻期間中に夫が支払った厚生年金に対する受給額の半分と妻の基礎年金の受給額を足した合計金額が入るようになりました。退職金も預貯金も半分入る。これはお金持ちになれると考えてもいいのです」

 夫が会社員で妻が専業主婦もしくはパート主婦の場合、圧倒的に妻の年金が少なくなる。これまでは、「自分だけの年金だと生活できないから」と離婚を踏みとどまってきた主婦も、この年金分割制度によって、離婚に踏み切れるようになったのだ。ざっくりといえば、専業主婦(第3号被保険者)の場合、結婚していたときの夫の厚生年金の半分が入る(これを「3号分割」という。08年4月以降の婚姻生活期間が対象)。

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「そんな人とこれから先一緒にいる意味なんかない」