「この制度は専業主婦にとっては朗報でした。でも夫から見れば合意なくとも半分とられることになります。妻も厚生年金に加入していた共働き夫婦の場合は違います。妻が専業主婦だったら、離婚後に年金をガバっととられてしまう。そのときになって『専業主婦と一緒になっていなければ』と悔やむ男性もいます」

 この年金分割の請求期限は離婚したときから2年以内とされていたが、5年以内に延長する方針が固まった。近い将来、法改正後に施行される予定だ。

「専業主婦と熟年離婚したあと、自立したキャリアウーマンと再婚し、老後は大丈夫だと言っている男性もいました。再婚相手も自分で厚生年金に入っているので、3号分割もないからです。今回は(離婚をしたとしても)安心だと言っています(笑)」

「オレの退職金だ」

 このような離婚後の年金の損得を考えざるを得なくなったのも、妻も夫も長生きをするようになったからだ。

「言葉を選ばずに言えば、昔は夫が死ぬのを待っていればよかった。夫が死ねば、団信(団体信用生命保険)の保険金で住宅ローンは完済となった。今はもうそれまで我慢できなくなっている。たとえば、『定年後は、二人で世界一周でもしよう』とか『年金は半分はあげるから君も自由に使いなさい』と日頃から言っていればいいものですが、悲しいかな、オレが働いたからオレの年金だ。オレの退職金だ』という夫が多い。そういう態度が垣間見られると、妻は決心するんです。『どうせお手伝いのようにしか私を見ていなかったんだ、この人は。そんな人とこれから先一緒にいる意味なんかない』と」

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幸せを相手任せにしている人は問題