一方で、離婚を考え直す妻もいる。

「先日は、『離婚したい』とずっと言っていた人が、いきなり夫から500万円もらったといって、考え直していました。夫は資産をもっと持っている人ですが、たった500万円でもその気持ちが嬉しかったのでしょう」

 ただ、離婚問題研究の第一人者として30年以上活動してきた岡野さんはこうも指摘する。

お金がほしい、自由がほしい、夫にこうあってほしい、と自分の権利ばかり主張し、どこか幸せを相手任せにしている人。こういう人は問題です。幸せは自分の手でつくるものです。相手が悪いと、相手の悪いところばかりに目が行って、モラハラのように相手を傷つける。そんなふうに、最も身近な家族という社会のなかで、配偶者を見下してしまう癖がついていたら、もっと大きな社会でも人を無意識に傷つけてしまうこともあります。相手だけでなく自分自身をも顧みることです」

小さな気配りを見せること

 なぜ結婚したのか、相手のどこに惹かれて結婚したのか。相手だけでなく、自分が婚姻期間中にどのように相手に接してきたか――。

「そうしたことを冷静に考えたうえで、『それでも自分自身を大切にするために別れたい。これから経済的にも自立して幸せになるんだ』と思えたら、私は離婚してもいいと思います。夫婦間のトラブルはコミュニケーションを改善するだけでたいていのことはクリアになると思っています。小さな気配り(愛情)を見せること。言葉に気を付けること。相手への一言に気を付けて幸せを引き寄せましょう! そしてお金も」

 お金は自由と自立への切符に過ぎないのだ。

(AERA dot.編集部・大崎百紀)

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