日本の「デジタル赤字」は将来30兆円に?
例えば、この動画を見てほしい。その進化に驚くはずだ。
(2025年に発売される人型ロボットトップ15)
日本の人型ロボットと言えば、20年ほど前には、ソニーのAIBO(犬型だが)やホンダのASIMOなどが世界で人気を博していた。
しかし、日本は、AIの急速な進歩を予測できず、ヒューマノイドの飛躍的発展を全く予期できなかったことにより、今や、人型ロボットの分野では、ほとんど追いつくことは不可能だと思われるほど後れをとってしまった。
今最も熱い企業であるあの「エヌビディア」がヒューマノイド市場の重要性をわかりやすく発表した今回のニュースは、さすがに遅れた日本でもメディアが大きく取り上げるかと思ったが、日本では小さな扱いにとどまった。
そこで、今回あらためて取り上げることにしたわけだ。
前述の本コラムで紹介したとおり、情報処理においてクラウドサービスが中心的な役割を占めるようになったことを反映して、日本企業や個人がGAFAMなどの米IT企業に支払う金額は急増している。この分野での収支はもちろん大幅な赤字で、「デジタル赤字」としてクローズアップされるようになった。
経済産業省の22年の予測では、23年のデジタル赤字は約2兆円、30年に約8兆円だった。
しかし、実際には、23年は5.3兆円と予測の2.5倍に増え、24年は6兆円超えが確実で7兆円に近づく可能性もある。ヒューマノイドの普及が始まり、日本が米中から大量輸入を始めれば、この赤字が爆増し、30年には化石燃料の輸入額を超える30兆円になってもおかしくないだろう。
そんなに急速にヒューマノイドが発達するのかと疑問に思うかもしれないが、23年にChatGPTが世界を驚かせたのと同様に、これに匹敵するような大転換が驚く速さで進む可能性が高まっていることが日本ではあまり認識されていない。
従来の原始的なAIが生成AIに発展し、ChatGPTにより、AI革命が始まったが、AIの発展はさらに加速している。
人から与えられたデータから学ぶ機械学習的なものではなく、自ら現実に生じている現象を含めて学習し、あらゆる分野について新しいものを生み出す汎用的かつ人間と同等の能力を持つAGI(汎用AI。と言っても、そもそもAGIの定義は曖昧だが)が近々実用化されると言われている(ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長は23年に「10年以内」と発言した)。いずれにしてもAIがどんどん進化していくのは確実で、AGIに日々近づきつつある最先端AIが活用されるとしたら、どうなるだろうか。