また2015年優勝投手の平沼翔太 (敦賀気比→日本ハム→西武)と、2019年優勝投手の石川昂弥(東邦→中日)はいずれも野手としてプロ入りしているが、レギュラー獲得には至っていない。そんな中でプロで順調なスタートを切ったのが2022年優勝投手の前田悠伍(大阪桐蔭→ソフトバンク)だ。ルーキーイヤーの昨年は二軍で12試合に登板して4勝1敗1セーブ、防御率1.94という見事な成績を残し、シーズン終盤には一軍で先発デビューも果たしている。このまま順調にいけばここ数年の間に先発ローテーション争いに加わってくる可能性も高いだろう。
一方で夏の甲子園優勝投手は春に比べるとプロで結果を残している選手が多い。まずトップを走っているのが10年前の2015年に東海大相模を優勝に導いた小笠原慎之介(中日→ナショナルズ)だ。ドラフト1位で中日に入団すると、早くから先発の一角に定着。二桁勝利こそ2022年の1度だけだが、過去4年間連続で規定投球回数をクリアし、このオフにはメジャーリーグへの移籍を果たした。入団が決まったナショナルズでも先発としてかかる期待は大きい。
2016年に優勝投手となった今井達也(作新学院→西武)、2017年優勝投手の清水達也(花咲徳栄→中日)もともに高校からプロ入り。今井は2年目から先発ローテーション入りすると、制球に苦しんで停滞した時期はあったものの2023年からは2年連続で二桁勝利をマーク。昨年は最多奪三振のタイトルも獲得した。近いうちに小笠原に続いてメジャー移籍という可能性もありそうだ。清水も5年目の2022年に中継ぎとして一軍に定着すると、3年連続で50試合以上に登板。昨年はチームトップタイの60試合に登板して3勝1敗1セーブ36ホールド、防御率1.40という見事な成績を残した。絶対的なクローザーだったライデル・マルティネス(巨人)が退団した今年はさらにその肩にかかる期待は大きくなりそうだ。