阪神・高橋遥人
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 近年、野球界で最もよく聞く手術が肘の側副靭帯再建術、いわゆる“トミー・ジョン手術”だ。昨年は下村海翔(阪神)、草加勝(中日)、西舘昂汰(ヤクルト)というドラフト1位ルーキー3人がトミー・ジョン手術を受けたことでも話題となった。実戦復帰までには1年から1年半かかるというのが一般的だが、投球の感覚が完全に戻るにはそこからさらに1年から2年程度が必要という声も多く、昨シーズンでは2020年11月に手術を受けた才木浩人(阪神)がキャリアハイを大きく更新する13勝3敗、という見事な成績をマークした。では今シーズン、才木のようにトミー・ジョン手術からの完全復活が期待される選手としては誰がいるのだろうか。

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 まずセ・リーグの投手で名前が挙がるのが才木の同僚である高橋遥人(阪神)だ。2019年には19試合、109回2/3を投げて3勝9敗ながら125奪三振を記録するなど将来のエース候補として期待されたが、度重なる故障があって翌年以降は停滞。2022年4月にはトミー・ジョン手術を受けて長期離脱となった。翌2023年にも左尺骨と左肩の手術を受けてオフには育成契約となったが、昨年4月にようやく実戦に復帰。7月には支配下復帰を果たすと、8月11日の広島戦では実に1025日ぶりとなる一軍勝利をあげて話題となった。最終的に昨年は5試合に先発登板して4勝1敗、防御率1.52という復活を予感させる成績を残している。

 シーズン終了後の11月に2023年に左尺骨の手術を受けた際に埋め込んだプレートを除去する再手術を受けた影響でキャンプは二軍スタートとなったが、これは故障によるものではなく本来の状態に戻すためのものであり、2月中にはブルペン入りの見込みだという。好調時には分かっていても打てないと言われるだけのストレートの勢いがあるだけに、1年間を通じてローテーションを守ることができればキャリア初となる2ケタ勝利も見えてくるだろう。

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中日の2投手は完全復活なるか?