広島で黒田のような精神的支柱になるか
日本球界復帰となれば、本命視されるのが古巣の広島だ。今オフに九里亜蓮がオリックスにFA移籍し、先発陣が盤石とは言えない。メジャーで活躍して広島に復帰した黒田博樹(現広島球団アドバイザー)のように、実力だけでなく、精神的支柱としてもチームに大きなプラスをもたらすことが期待される。
とはいえ、先発で計算できる投手が欲しい球団は少なくない。前出のスポーツ紙デスクは「経験値がある投手だし、パフォーマンスが著しく落ちたわけではないので争奪戦になる可能性は高い。ヤクルトはFA補強で石川柊太(ロッテ)の獲得に乗り出したが縁がなく、先発のコマ不足が解消されていないので獲得を検討しておかしくない。巨人はその時のチーム状況が左右しますが、菅野智之の穴が埋まらず苦戦しているようだと、獲得を検討することになるのでは。豊富な資金力のソフトバンクもメジャー帰りの有原航平、上沢直之を獲得しています。現状は先発のコマがどうしても欲しいというわけではないですが、争奪戦に参戦しても不思議ではありません」と分析する。
前述した黒田や有原はメジャーから日本球界復帰後に先発の軸として活躍しているが、故障によって苦しんだケースも少なくない。メジャーで56勝をあげた松坂大輔は、右肩痛や右肘痛に悩まされ、日本復帰後に3年間在籍したソフトバンクでは計1試合登板したのみ。中日に移籍して18年に6勝を挙げたが、19年は未勝利で退団。西武で2年間プレーして1軍登板は引退試合の1試合に終わった。メジャーで63勝をマークした岩隈久志も、巨人に移籍したが右肩痛で本来の状態を取り戻せず、2年間在籍して1軍登板なしだった。
楽天からメジャーに移籍して78勝をあげた田中将大も、日本球界復帰後は満足する成績を残せていない。名門・ヤンキースで6年連続2ケタ勝利をマーク。7年目の20年はコロナ禍で試合数が減った影響もあり3勝にとどまったが、力が大きく衰えたわけではなかった。21年に楽天に復帰するとエース格として期待されたが、この年は4勝9敗、翌22年は9勝12敗、23年は7勝11敗と、まさかの3年連続負け越し。打線の援護に恵まれない側面はあったが、パフォーマンスに陰りが見え始めた。23年10月に右ひじを手術し、術後のコンディション上が上がらなかった昨年は1試合登板のみ。このオフに楽天から大幅な減俸を提示されると、自由契約を申し入れて電撃退団。他球団でのプレーを模索し、巨人入団が決まった。