足のむくみは危険信号 イラスト/石山綾子
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 血液をサラサラにするため、高齢者には水分補給が不可欠……。そんな固定観念からせっせと努めて水を飲みがちだが、とりすぎは頻尿の元にもなるという。泌尿器の問題を専門とする日本大学医学部教授・高橋悟氏の著書「頻尿・尿もれ 自力でできるリセット法」(アスコム)から一部抜粋し、尿トラブルを解消するための生活習慣の改善について紹介する。

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「頻尿」と聞くと、どれぐらいの頻度だと思いますか?

 医師が使うガイドラインには、「1日に8回以上」と記されています。ですが、同じ人でも、猛暑の夏に戸外で汗を流しながら過ごせば5時間トイレに行かなくても平気なのに、寒い冬には2時間おきにトイレに飛び込むようなこともあるので、一概には言えません。

 ですから「1日に9回行くから頻尿」などと杓子定規に捉える必要はないのです。「1日に8回以上」というのは、1つの目安にすぎないと思ってください。

 また、「トイレには1日10回は行くけれど、生活に不便はない」という人もいます。そういう人は、必ずしも「頻尿だから治さないと!」と思わなくてもいいのです。頻尿で死ぬことはありません。頻尿で生活に不便を強いられている人だけが、生活習慣を改善して、治せばいいのです。
 

「血液サラサラ願望」が実は多尿の原因に

 水分が足りないと、血液がドロドロになって、心筋梗塞や脳梗塞になってしまう。

 そう思っていませんか? 現在、水分を多く摂取すると、心筋梗塞、脳梗塞の発生が減ることを示した研究はないというのが私の認識です。確かに「水分を多めにとると脳梗塞の再発リスクが減る」という研究が1つありますが、あくまで脳梗塞の既往歴のある患者さんが対象です。

 もちろん、水分は大切ですが、「血液をサラサラにするには、水分はどんどんとるほうがいい」と信じ、必要以上に水分を摂取している人がいます。そうして余分に水分をとった結果、尿が適正量以上に作られる「多尿」になってしまうのです。

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あちこちで勧められる水分補給は本当に必要?