膀胱と尿道括約筋、尿道は連動していて、尿の悩みのほとんどは、この連動に不具合が起きているからです。この不具合の主な原因はなにかといえば、〝老化現象〟です。 身もふたもない……と思われたかもしれませんが、この老化現象には、ちゃんと対策がありますので、ぜひこの先もご覧ください。
自分でコントロールできる尿道括約筋
たとえばなにかを食べたり飲んだりすることは、自分の意思でできます。口を開けて、あごを動かしてかんで、ごくんと飲み込みます。そのときに使われる筋肉は、あなたの意思で動く「随意筋」です。
ですが、ひとたび飲み込んでしまったら……、食道はふくらんだり縮んだりして食べ物を胃まで運びますが、そのときに使われる筋肉はあなたの意思で動かすことができません。そこで使われる筋肉は「不随意筋」です。
私たちの体内では、随意筋と不随意筋が役割を分担しています。
膀胱や尿道など、「泌尿器」のなかでも同じです。泌尿器にはいくつもの臓器や、たくさんの筋肉(随意筋・不随意筋)があります。尿道括約筋は自分でコントロールできる随意筋です。尿をしようと思ったら尿道括約筋を緩めて出せるし、「こんな場所でしたらまずい」と思えば引き締めて尿を我慢できるのです。
ところが年をとってくると、尿道括約筋のコントロールが利きにくくなります。それで、くしゃみをしただけでも尿がもれてしまうようになるわけです。尿道括約筋が衰えた男性は、射精をするときに我慢することも難しくなります。
膀胱は「排尿筋」という筋肉でできていますが、こちらの排尿筋は自分でコントロールできない不随意筋です。この排尿筋も、年をとると衰えていきます。
膀胱が過敏になって、尿が十分にたまっていなくても勝手に縮み始めてしまう「過活動膀胱」では、尿道括約筋や骨盤底筋が衰えていると考えられます。過活動膀胱だと、急にトイレに行きたくなって我慢できなくなったり、短い間隔でトイレに行きたくなったりします。