かつて勝ち組の象徴でもあったタワマン合コン、タワマンパーティー。一部の富裕層が繰り広げる特殊な世界にもみえたが、最近はそこに住んでいない人でもパーティーを主催できたり、だれでも参加できたりするという。以前は「港区」を中心に限られた場所にしかなかったタワマンが、今やどこにでも建つようになり、以前のような特別感がなくなったこともハードルを下げた一因のようだ。とはいえ、富裕層の個人的な集まりはいまだにあるようで、増えたのは営利目的のためのイベントだという。なかには、魅力的な文句で誘い、実態はまったく違うという“粗悪”なパーティーもあり、狙われるのは“弱者男性”だという。
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「『東京の夜景が一望できるタワーマンションでの合コン』と聞いていたのに、通されたのはまるで公民館のような和室。瞬時に『だまされた!』と思いました」
そう語るAさん(32歳)は、母親と2人暮らしのサラリーマン。貯金もそれなりにあるが、生まれてこの方、彼女がいたことはないという。
「美女が勢揃い!」の誘い文句に……
それでも結婚願望が強いAさんは、毎週末のように都内で開かれる街コンに積極的に参加していた。ある日、全身をGUCCIで着飾った「自称・保育士」の女性と出会い、LINEを交換。その後、やりとりを続けていた彼女から突然、長文のメッセージが届いた。
「完全招待制・男性参加者急募! 保育士、CA、インフルエンサー! 厳選された美女が勢揃い! 勝どきのタワマンで熟成肉を食べながらステキな出会いを掴みませんか?」
冷静に読めば怪しげな内容だが、Aさんはそのメッセージにくぎ付けになったという。
「正直なところ、『厳選された美女が勢揃い!』という一文に心を奪われてしまいました(笑)。タワマンに行ったこともなかったので、『きっと映画に出てくるようなスゴいパーティーなんだ』と思い込んだのです。それに、CAやインフルエンサーには普段の街コンでは出会えないので、思わずその“保育士”の女性に参加費2万円を振り込んでしまいました」
こうしてAさんは、人生初のタワマン合コンに足を踏み入れることになった。
駅から徒歩数分の場所にそびえ立つ高層マンション群は圧巻で、気分は高揚するばかりだ。指定された部屋番号をインターホンで呼び出し、自動ドアが開く。足を踏み入れたエントランスは、外資系の高級ホテルをほうふつとさせるラグジュアリーな空間。Aさんのテンションはますます上がった。