テイエムオペラオーに「死角」あり? 競馬・有馬記念を大予想

 今年も有馬記念(十二月二十四日、中山、芝二五〇〇メートル)の季節がやってきました。この一年、楽しいことも辛いこともあったと思います。が、ここは気持ちを新たに二十世紀最後の「大勝負」――。一足早く各界の競馬ファンに占ってもらいました。
 

 まずは競馬に詳しくない方のために有馬記念のおさらいをしておこう。中央競馬のフィナーレを飾る年末恒例の大レースで、出走馬はファン投票上位が中心。プロ野球の日本シリーズとオールスターゲームを足して二で割ったと思えばいい。ファンの関心も高く、一九九〇年、オグリキャップの「ラストラン」、九三年、トウカイテイオーの「奇跡の復活」は一般紙の社会面を飾った。

 四十五回目となる今年はといえば、現役最強馬の呼び声が高く、断然一番人気確実のテイエムオペラオー(牡5歳)に注目が集まっている。

 どれだけ強いかといえば、オペラオーは昨年、三冠初戦の皐月賞を制覇。有馬記念では、歴史的大接戦の末、グラスワンダー、スペシャルウィークに次ぐ三着に終わったが、今年は二月の京都記念から怒濤の重賞七連勝中。天皇賞春、宝塚記念、天皇賞秋、ジャパンカップ(JC)と、今年G1を四勝もしたとんでもない馬なのだ。

 格闘家の小川直也さんがオペラオーを本命に推す理由がふるっている。

 「いま、プロレス界のアントニオ猪木、音楽界のサザンオールスターズのようなヒーローが競馬界にいる?業界を盛り上げるため、とにかくオペラオーを推さなくちゃ」

 前走JCで軽い外傷を負ったが、回復は順調。評論家で馬主としても有名な舛添要一さんも、

 「やっぱり本命はオペラオー。体形を見ていると、そんなに走る気がしないんだけど、JCは本当に強い勝ち方だった。どんな展開になっても自分から動けるから、鬼に金棒だね」

 競馬評論家の井崎脩五郎さんも舛添さん同様、「オペラオーに死角なし」との見立て。

 「皐月賞を勝つような早熟因子を持つ馬が、古馬(五歳以上)になって天皇賞春の三二〇〇メートルを克服した。もうシンボリルドルフ級といってもいい。二十世紀最後に有馬で八連勝を飾り、二十一世紀の目標になってほしいなあ~」

 今回の予想陣で紅一点、キャスターの浜尾朱美さんも本命はオペラオー。陣営は「来年も国内で現役続行」を表明しているが、浜尾さんは言う。

 「エルコンドルパサーのように海外挑戦してほしい」

 う~ん「オペラオー盤石」という話ばかり聞いていると、本当に死角はないように思えてくるが、井崎さんが気がかりな話を……。

 「史上最強の現六歳世代の代表格であるエルコンドル、スペシャル、グラスなどと、古馬になってからほとんど対戦していない。恵まれているんだよね。宝塚では骨折したグラスに勝ったけれど……」

 そこで井崎さんが「出走馬で今年G1を勝っているのはオペラオーとこの馬だけ」と言って挙げるのがキングヘイロー(牡6歳)だ。

 「強力な逃げ馬がいないので中盤はペースが緩み、二五〇〇メートルが実質マイル戦になる。これなら何とか距離ももつのでは。それに母がグッバイヘイローだから、二十世紀にグッバイの今回は……」

 「でも井崎さん、根拠が薄いのでは?

 競馬歴三十年以上になる自民党代議士の園田博之さんは、オペラオーの強さは認めながらも、昨年の菊花賞馬ナリタトップロード(牡5歳)を本命に推す。しかし、オペラオーを外した理由は、

 「オペラオーだって一年を通じて好調を維持できるものではない。小回りの中山ならば、展開の綾でオペラオーとの逆転もあり得る」

 というちょっと心もとない「死角」だった。
 

■穴馬に出番なし 格ある馬が勝つ

 確かにトップロードには今回、大きな援軍がある。グラスで有馬を連覇した「いぶし銀」的場均騎手を鞍上に迎えるのだ。自称「競馬の達人」の本誌M記者は、「まもなく調教師に転向する的場が『マーク屋』の本領を発揮し、有馬ラストランを飾る」

 と予言するのだが……。

 オペラオー派の小川さん、浜尾さんの対抗はメイショウドトウ(牡5歳)。宝塚、天皇賞秋、JCと三戦連続でオペラオーに続く二着だが、安定感は抜群だ。舛添さんは「潜在能力が高い」マチカネキンノホシ(牡5歳)が対抗。メイショウ同様、外国産馬だ。M記者は「忘れたころにG1で二着に好走する」ステイゴールド(牡7歳)を挙げる。

 さて問題は、ここまで名前の挙がっていない馬の中に、九一年のダイユウサク、九二年のメジロパーマーのように大波乱を起こす大穴馬は本当にいないのか、だ。舛添さんは「キングヘイロー。でもちょっと力がね」。園田さんは「出走できればロサード(牡5歳)の末脚は要チェック」と言うが、だれも自信は?だ。小川さんに至っては「わかんね~よ」。井崎さんはこうコメントした。

 「ホットシークレット(5歳)の逃げ粘りがあるかなあという気もするが、ダイユウサクのような勢いはないなあ~」

 どうやら舛添さんが言うように「格のある馬が勝つ」有馬になりそうだが、最後に筆者の予想。やはり本命は「強い馬は強い」を信じてオペラオー。そして今年を象徴する「金」が馬名に入っているマチカネキンノホシとステイゴールド、そして十五日に亡くなった三冠馬ミスターシービーをしのんで、シービーを母の父に持つゴーイングスズカ(牡8歳)に流します。

次のページ