日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は「過敏性腸症候群」について、鉄医会ナビタスクリニック内科医・NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。
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なかなか相談しにくい便に関する悩み事。今日は、私のここ最近の経験談をお話ししたいと思います。
「トイレ、トイレ、トイレ!!!」
食後30分も経たないときです。突然、便意がやってきてトイレに走って駆け込まないといけなくなったのは、ここ5年ほどのことです。「便秘が続よりはマシか」なんて最初の頃は思っていたのですが、多い時は週に数回はトイレに駆け込まないといけなくなるようになり、そう思ってもいられなくなりました。
食後だけでなく、食事の最中に食卓とトイレを数回往復するなんてこともありました。自宅でそんなことになるのならまだ良い方で、外食した時はもう悲惨です。車に乗って帰ろうとした矢先や道中に激しい便意に襲われ、急遽駐車場まで引き返したこともあります。トイレを借りることができそうなお店を必死で探しては、全力でトイレに駆け込んだことも何度もあります。
ここだけの話、急に便意に襲われ、トイレに駆け込むものの間に合わず……。大の大人なのに下着を汚してしまったこともあるほどです。そんな誰にも言えない経験から、外出するときは下着を1枚、カバンの中に忍ばせておくようになりました。
食後に突然襲われるときの便は、常に水っぽい下痢のような感じで、便に形はありません。1回から数回ほど、排便してしまえば、腹痛は綺麗さっぱり消えてなくなります。「さっきまでの腹痛はなんだったのか?」というくらいすっきりするのです。
ストレス?食生活の変化か?
アメリカに住むようになってからは、外食時だけでなく自宅で食事をした直後にも症状が頻繁に現れるようになりました。「ストレスか、はたまた、環境の変化か。それとも、食生活の変化が原因なのかもしれない」と考えるものの、毎日ではないことと、排便してしまえば生活に問題がないことから、「様子を見ておこう」なんて思っているうちに2年が過ぎてしまったのです。