FA権を行使したが横浜残留を決断し会見する三浦大輔=2008年

かつて三浦大輔監督も悩んだ末の残留

 FA権を行使し、他球団が獲得に乗り出した場合は移籍するケースが多いが、残留を選ぶ選手もいる。DeNAの三浦大輔監督は現役時代に前身の横浜のエースとして活躍し、08年オフにFA宣言すると阪神が獲得に動いた。奈良県で生まれ育った三浦監督にとって阪神は憧れの球団だ。条件面でも横浜を上回っていたため、「阪神移籍が有力」と見られていたが熟考の末に残留を決断。「強いところを倒すのが自分の生き方。横浜が好きなのでこのチームで優勝したい」と記者会見で思いを吐露した。

「三浦監督の決断は正解だったと思います。好条件でFA移籍しても結果を残せなければ、生え抜きと比べて見切られるのが早い。残留した横浜で現役時代に優勝することは叶いませんでしたが、DeNAの監督に就任し、今季3位で下克上から26年ぶりの日本一に導きました。阪神に移籍していたら、今の姿はなかったでしょう」(民放のテレビ関係者)

 大山も残留か移籍か、かなり悩んだだろう。実際に気持ちが移籍に傾いた時期もあったという。だが、11月23日に甲子園で開催された「ファン感謝デー」で掲げられた自身の名前入りタオルの多さや、28日の選手会納会で同僚やスタッフらと会話を重ねたことで残留への思いが強くなったという。

「SNSのファンの声は気になる」

 今回のFAに影響を及ぼしたと考えられるのが、SNS上で巨人ファンの大山獲得を望む声が多いと言えなかったことだ。今季打率.259、14本塁打、68打点と不本意な成績に終わったことも影響したかもしれない。11月中旬に巨人が6年契約を用意していることがスポーツ紙で報じられると、「本塁打王やタイトルを獲得した選手でもないのに厚遇しすぎ」、「そこまでして阪神の4番が欲しくない」など獲得に否定的なコメントが一定数見られた。

 セ・リーグの現役選手は「FAで移籍を考えた時に、SNSでファンにどう思われているかはどうしても気になります」と明かす。

「一部のファンであっても『おまえは必要ない』という書き込みがネット上で目立ったら、いろいろ考えてしまいます。大山選手は律儀な性格なので、応援してくれる阪神ファンの感情にも思いを巡らせたのかもしれません。選手は応援される環境でプレーしたいと思うのが当然の感情ですから」

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