今オフ、「FA市場の目玉」として注目されていた阪神・大山悠輔が残留を決断した。巨人が獲得に乗り出しており、一時は移籍を有力視する報道も出ていた。大山は11月29日に兵庫県西宮市内で行われた記者会見で、「仲間やスタッフ、裏方さんとも話して、今日決めました。(2023年の日本シリーズで)地鳴りのような歓声を受けた、あの感動が忘れられない」と残留を決断した理由を語った。
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阪神を取材するスポーツ紙記者は、「正直驚きました」と振り返る。
「FA権を行使した時点で相当な覚悟が必要です。巨人のほうが阪神より条件面で良かったという話も出ていました。大山は親しい番記者にも自身の去就を明かさなかったので、移籍が濃厚なのかなと……。阪神にとっては朗報です。巨人に4番打者を奪われたらダメージが大きい。大山は後輩たちに慕われていますし、先輩や同学年の選手たちにも一目置かれている。『生涯阪神』を決断したことで、来年のV奪回に向けて勢いづきます」
巨人との一騎打ちになったのが影響か
大山は昨オフに球団フロントから提示された複数年契約を断り、年俸2億8000万円で1年契約を結んだ。この時点で今オフにFA権を行使することは予想できた。ただ、阪神の球団OBは、巨人以外の球団が参戦せず、巨人と阪神による一騎打ちになったことが「決断に影響を及ぼしたのではないか」と分析する。
「野球人生の分岐点で、自分の評価を純粋に聞いてみたいという思いがあったでしょう。条件面にそれほどこだわりはなかったと思います。でも、巨人が最大限の誠意を尽くして6年契約を提示したことがメディアで報じられ、他球団が参戦しにくい状況になった。巨人の岡本和真や坂本勇人がラブコールを送ったことで、『移籍するなら巨人』の流れができました。大山は野心に燃えてギラギラしたタイプではなく、献身的にチームに尽くす性格です。FAした時点では巨人に移籍ありきではなかったのに、『関西が好きではない』『在京球団を希望している』など事実と異なる報道が過熱したことに戸惑いもあったと思います。仮定の話ですが、パ・リーグの球団から獲得オファーが来ていたらどうなったか興味深い。メディアの注目度が阪神や巨人より低いですし、大山の性格を考えると魅力的に感じたかもしれません」