その一つとして気がかりなのが高齢世代、とりわけ「大人女子」といわれる女性たちの活発な活動ぶりである。対象は、75歳の節目を迎えつつある「団塊の世代」以降、山本さんが言うように50~70代の女子たちだ。

 日本に若者文化をつくり、お見合いではなく自分の意思で相手を選ぶ恋愛結婚を主流にした団塊は、それ以前の世代とは意識がまったく違う。「OL→結婚して“寿退社”→専業主婦」が多かった彼女たちが、子育てを終えて自由になったころから活発な活動ぶりが目立ち始めた。2000年代の「韓流ブーム」を主導したのを皮切りに、旅行やグルメなどで旺盛な活動を展開、以降の世代もパワーアップしながら同じ路線を歩み、「大人女子」は注目度合いを高めていた。

 そこに襲ったコロナ禍。「重症化リスク」を抱える世代でもあり、この3年間、「大人女子」の活発な活動はしぼんだ格好になっていた。冒頭の山本さんが言う。

「もちろん、このままではないでしょうね。そろそろどのマダムも、うずうずしていらっしゃるのではないですか」

 山本さんは「女の欲望」の研究家でもある。

「女の欲望は広くて深い。私のボクシングのように新しい活動を始めたり、旅行などの計画を立てたり……。コロナがいろいろ考える時間を与えてくれたといえるのかもしれません」

 元気な「大人女子」たちはコロナ以前と同じ生活をしたがっている。

 例えば神奈川県に住むA子さん(65)は、週3日程度「チョイ働き」したお金で趣味を楽しむ「名人」だ。

「50歳から乗馬を始めました。子育てをしている時からの夢だったんです。韓国で食べ歩きするのが好きで、年に4回は行きますね。温泉は夫と月に1回ぐらい。いいものに出会えば買っちゃいます」

 毎月の稼ぎは8万~9万円程度。物産展の販売員をしたり、フードショーで調理補助をしたり……。派遣から始めるケースが多いが、よほど「売る」のがうまいのだろう、働き先から次々に「ご指名」が入るという。ジビエの会社から鹿肉の販売を頼まれた時は、各部位を試食するために自ら北海道行きを志願し、解体から調理まですべて体験したという。

暮らしとモノ班 for promotion
大人のリカちゃん遊び「リカ活」が人気!ついにポージング自由自在なモデルも
次のページ