■同じ趣味で集う一大社交クラブ
今は来年、夫と行く「パリの美術館巡りの旅」に思いを巡らしている。2人ともアート好き。2週間程度の滞在でルーブルには4日間、オルセーは……、などと計画中だ。
「75歳までは、今のような『働いて遊ぶ』生活をしていたい」
趣味といえば、同じ趣味を持つ人たちがネット上で集まり、オンラインやリアルで交流する「一大社交クラブ」が存在するのをご存じだろうか。
50~70代を中心に会員数36万人を誇る「趣味人(しゅみーと)倶楽部」がそれ。主宰者となる「管理人」が仲間を募り、「コミュニティ」を組織する。その数は約3万5千。最近はリアルイベントもすっかり復活していて、ここでも人気を集めるのは「大人女子」のコミュニティだ。
60代後半のリンダ・ミーアさんが主宰するコミュニティ「ラヴィアンローズ(薔薇色の人生)」の会員は2千人を超す。リンダさんが次々に繰り出すイベントが人気なのだ。
「観劇や美術展、コンサートなど文化的なものにお食事会をくっつけるイベントが多いですね。イベントは月に15程度で、コロナ前に戻りつつあります。今まで我慢していたのを発散させたいのでしょう、最近は参加希望が多い。20人ぐらいはすぐ集まってしまいます」
計画はリンダさんが一人で立てる。いろいろな劇場の会員になって早めにいい席が取れる体制を整えたり、観光ならネットで実際に訪問した人のブログを読んだりして日程を組んでいく。以前、旅行会社にいた経験が生きていて、「大変わかりやすい」と評判だ。
「自分がプログラミングしたものを参加者が楽しんでくれるのが嬉しい。快感です。もはやコミュニティを運営するのが生きがいになっています。これがなくなれば、どうやって生きていけばいいのか、とすら思います」
こうした声に、趣味人倶楽部を運営するオースタンスの菊川諒人社長(35)はこう言う。
「言ってみれば、趣味人倶楽部には小中学校の学級委員長みたいな人がいっぱいいらっしゃるんです。報酬はなくても誰かに喜んでもらえるのが好き。そんな人が『この指とまれ』でコミュニティを立ち上げ、そこにフォロワーが集まり一つのテーマを楽しむ。大人世代の皆さんがデジタルで交流するのに、とてもいい『場』になっています」