ハリスはトランプに勝てない?
アメリカでは、自信に欠ける人間も、即興的に対応できない人間も評価されない。それが大統領となればなおさらだ。大統領という立場には、さまざまな局面で時にメモなしで対応する即興性という資質が求められる。
バイデンが大統領選からの撤退を即断できなかったのは、「ハリスにはトランプに挑む能力がない」と思っていたから。信頼性の高いメディアと言われるオンラインニュースAxiosは、インサイダーの話としてそう報じた。
ルースはこう語る。
「ハリスはホワイトハウスの重要な会議から外されていた。バイデンが、ハリスの選挙運動家としての手腕と人望に疑念と不安を抱いていたことは間違いない」
もしバイデンの撤退が2、3カ月早ければ、予備選をやらざるを得なかった。これを懸念したのではないか。2020年の大統領選では、ハリスはその前年に大統領選に立候補して、2、3のインタビューに応じたものの、パフォーマンスが芳しくなく、予備選が始まる前に脱落している。
ハリスが予備選を経ずに民主党大統領候補になったことについて、ドイツの哲学者マルクス・ガブリエルは「その点からみるとドナルド・トランプにmoral advantage(道徳的優位性)がある。だが、人種やジェンダーの壁を破る方法として、ハリスがティム・ウォルズを伴走者に選んだことは賢明である」と語る。(ジャーナリスト・大野和基)
※AERA 2024年10月14日号より抜粋