続いて述べられたのは、用意されていただろう内容だ。モデレーターは追及しなかった。
アメリカの主要メディアはかなり左派寄り、つまり民主党寄りなのだ。
テレビ討論会に「勝者はいなかった」
もう一人のモデレーター、リンジー・デイビスは、ハリスと同じソロリティ(同じ大学の女性社交クラブ)にいた人物だ。ファクトチェックはドナルド・トランプに対してのみ行われた。
トランプは討論会直後、報道陣に対して、「これは3対1の討論会だった」と言ったが、私もそう思う。
大統領選の行方を占うには、右派寄りの見方も知る必要があるだろう。
討論会直後に“LiveNOW from FOX”でキャサリン・スウォルツは、こう述べた。
〈この討論会を通じて、ハリスは何度も効果的にトランプを指さし、自分が非難されている問題から注意をそらすことができた〉
保守派のコメンテーターであるケンドール・ベイリーは、LiveNOW from FOXの別の番組でこう述べた。
〈明らかにハリスは昨晩の討論会のために十分リハーサルを行い、顔の反応(表情)まで、演出のように見えた〉
これまでも、ハリスは即興で答えることが得意ではないと指摘されてきた。討論会前、近くのホテルで、討論会と同様にステージを設置し、トランプ役の男性を用意して、5日間猛特訓を受けていたことが、ニューヨーク・タイムズをはじめ複数のメディアで報じられている。
ハリスのセリフと仕掛けた罠にトランプがハマったという点からみれば、主流メディアの報道どおり、ハリスの勝利だ。日本のメディアの報道はこうした主流メディアの報道をほぼそのまま報じるが、共和党寄りのFOXテレビはトランプの勝利としている。
ハリスは大統領に近づいたのか。
ウォールストリート・ジャーナルでPotomac Watchというコラムを担当するキンバリー・ストラッセルは9月13日付のコラムでこう書いている。