今年は今永、バウアーが抜けて先発陣の層が薄く、8月下旬まで借金生活が続き、優勝争いから脱落した。だが、首位争いを繰り広げていた広島が9月に大失速したため、3位でCSに進出。ただし、貯金はわずか2で、首位・巨人とは8ゲーム差もあった。シーズンで貯金2、勝率.507での日本一は過去最低で、まさに史上最大の「下剋上」だった。
巨人、阪神と差があるディフェンス力
なぜ、日本シリーズであれだけの強さを見せたDeNAが、シーズンでは巨人、阪神に及ばなかったのか。DeNAを取材するスポーツ紙記者は、その理由をこう分析する。
「一言で言えば、ディフェンス力の差だと思います。巨人、阪神のほうが投手陣は安定していましたし、無駄な失点が少なかった。DeNAは失策がリーグ最多で、投手の足を引っ張るミスも目立った。打力がいいのですが、長丁場のペナントレースでは打ち勝つ試合はそう多くない。ただ、CSや日本シリーズでは守備が締まっていましたし、投手陣も安定していた。こういう戦いを続ければ、おのずとチーム力が上がっていくと思います」
DeNAの今年の成績を見ると、完全に攻撃型のチームだ。チーム打率.256、総得点522、盗塁数69はいずれもリーグトップ。一方で防御率はリーグ5位、失策はリーグ最多の96。ディフェンス力が上がれば、おのずとリーグ制覇も見えてくる。
R.マルティネス争奪戦に参戦
ディフェンス力を向上するため、今オフに中日の守護神ライデル・マルティネスの獲得に動いていることが複数のメディアで報じられた。この補強が実現すれば、救援陣の安定感は一気に増す。森原康平、坂本裕哉、伊勢大夢、山崎康晃、佐々木千隼、中川颯と持ち味が違う投手たちを組み合わせ、最後のマルティネスにつなげるまでの勝利の方程式を構築しやすくなるはずだ。
一方、ソフトバンク投手陣を打ち崩した強力打線は来季も健在だ。今季首位打者を獲得したオースティンや牧秀悟、宮崎敏郎、筒香嘉智と強打者がそろい、山本祐大、梶原昂希、森敬斗、蝦名達夫も成長著しい。日本シリーズ新記録の5試合連続打点でMVPに輝いた桑原将志がリードオフマンとして稼働すれば、さらに得点力が上がる。FA権を保有する佐野恵太の動向が注目されるが、タレントはそろっている。