短期決戦の主役となり、26年ぶりの日本一に輝いたのがDeNAだった。CSファーストステージで阪神に2連勝し、リーグ制覇した巨人とのファイナルステージも4勝3敗で激闘を制した。日本シリーズではソフトバンクに2連敗から4連勝。下馬評は「ソフトバンクの圧倒的優位」だったが、適地・ヤフオクドームに移った第3戦からは投打がかみ合った戦いぶり。最後の第6戦は11-2と圧勝し、三浦大輔監督が胴上げでハマスタの夜空に舞った。
【写真】球団関係者が指摘するDeNAの来季のキーマンはこの選手
「強かったですね。パ・リーグを独走したソフトバンクがセ・リーグの球団に圧倒されるのは珍しい光景でした。ただ、DeNAは以前からパ・リーグ球団から『セ・リーグの中で圧倒的に強い』と高く評価される戦力でした。ソフトバンクも巨人、阪神と比べて強力な打線を擁するDeNAはやりづらかったと思います」(スポーツ紙デスク)
セ・パ両リーグでプレーした経験を持つ球団OBが日本シリーズを振り返る。
「ソフトバンクに少し緩んだ雰囲気があったように感じます。勝利後の首脳陣、選手のヒーローインタビューの発言を聞いていると、『大丈夫かな?』と少し違和感がありました。相手をなめているわけではないけど、妙な余裕を感じた。こういう時に足元をすくわれます。失うものがないDeNAが一気に襲い掛かってきた。ただ、勢いだけで4連勝したかというと、そうではない。個々の選手が攻守できっちり役割を果たし、プレーは熱かったが心は冷静だった。シーズンもこの心構えで戦っていたら、リーグ優勝していますよ」
最下位10回の長い暗黒時代
DeNAは前身の横浜時代の98年にリーグ優勝、日本一に輝いたあと、優勝から遠ざかっていた。とくに2002年から15年までは5年連続を含む最下位10回という暗黒時代。12年に親会社がDeNAに代わり、16年からアレックス・ラミレス監督が就任したころから、実力、人気ともにメキメキ上昇して、優勝候補に挙げられるようになった。17年には今年と同じ3位から日本シリーズに進出したが、ソフトバンクに敗退。21年から三浦監督が就任し、昨年は先発に今永昇太(現カブス)、バウアー、東克樹の強力3本柱を擁して優勝候補の声も挙がったが、阪神の独走を許して3位に終わった。