写真はイメージです(写真:Getty Images)
この記事の写真をすべて見る

 実はトイレにスマホを持ち込んでいる人は意外と多い。トイレでスマホを使う弊害について専門家に話を聞いた。AERA 2024年10月28日号の記事より。

【写真】これでもうトイレに忘れ物しない? 注目の発明品がこちら!

*  *  *

「スマホがどれくらい汚染されているか、ちょっと実験してみましょうか」

 日本食中毒防止協会の中島専務理事が持ち出したのは、菌の増殖リスクをその場でチェックできるATP検査機器。専用のキットで中島専務理事のスマホケースを拭き取り測定すると……。

「1万7070RLU。基準値の設定例では、外食や給食の場合、手指で2千RLU以下が合格、4千RLU超が不合格ですから、スマホケースは菌がつきやすく、増殖しやすい環境なのが一目瞭然。さらにトイレを済ませた手でスマホを触っていれば、驚くほど汚染されている可能性があります」(中島専務理事)

 ウェルシュ菌は40~50度の温度で増殖しやすく、それ以上になると毒素を出しながら芽胞を形成して身を守る。そうなると通常の加熱では死滅しない。

「空気を嫌う菌で、カレーやシチューのような粘りのある料理で増殖します。ウェルシュ菌による食中毒の報告は決して少ないものではありませんよ」(同)

 サイバーセキュリティー企業「NordVPN」の調査で、“トイレでスマホ”率の堂々1位にランクインしたのが香港。日本をはるかに上回る87.6%の人が、トイレでスマホをいじっているとの結果だった。「香港では当然の習慣になりつつあります」と香港のスマホ事情を教えてくれたのは、インスタグラムで「香港あるある」を紹介するMariさん(@no.123mari)。香港で共働き、子育て生活を11年間送った。

 Mariさんによれば、香港では日本より随分前からオクトパスという電子マネーが流通しており、それなしでは生活できない。会社のパスやマンションのエントランスキーなど様々な機能も付帯されていて、学校の出席や遅刻確認もオクトパスで。一人何台もスマホを持っている人が珍しくない。転売のマーケットが大きいようで、スマホをなくすと出てこない確率が高く、金銭面、防犯面双方においてスマホをなくすと一大事であるため、大人も子どもも肌身離さず携帯することが常識となっているという。

次のページ
役に立ちそうな発明品