学校や仕事、生活での悩みや疑問。廣津留さんならどう考える?(撮影/吉松伸太郎)
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小中高と大分の公立校で学び、米・ハーバード大学、ジュリアード音楽院を卒業・修了したバイオリニストの廣津留すみれさん(31)。その活動は国内外での演奏だけにとどまらず、大学の教壇に立ったり、情報番組のコメンテーターを務めたりと、幅広い。「才女」のひと言では片付けられない廣津留さんに、人間関係から教育やキャリアのことまで、さまざまな悩みや疑問を投げかけていくAERA dot.連載。今回は、子どもから「きょうだいが欲しい」と言われて悩む30代女性からの質問に答えてくれた。

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Q. 現在4歳の一人息子を育てています。私は子どもが一人いるだけでとても幸せと思っていましたが、最近息子が「弟か妹が欲しい」と言うようになりました。廣津留さんは一人っ子とのことですが、きょうだいがいたほうがよかったと思ったことはありますか? また、一人っ子でよかったと思うこともぜひ教えていただきたいです。

A. きょうだいがいたらよかったと思ったことは、特にないかな……。かといって、一人っ子のほうがいいと思っていたわけでもないです。私は小さい頃から、きょうだいがいる人にはいるし、一人っ子は一人っ子だしと、フラットに「そういうもの」だと受け入れているところがありました。そもそも、兄弟や姉妹の概念を知ったのっていつだったんだろう……。あんまり人のことを気にしていなかったのかもしれませんね。

 子どもでも一人で楽しめることって実はたくさんあります。ぬいぐるみ遊びや日本地図のパズル、レゴ、漢字の採集、読書など、振り返ってみれば私が好きだったことは一人で楽しめることばかり。バイオリンの練習も一人でやるものですしね。子どもながらに自分が置かれている環境の中でできる遊びを考えて、それを追究するところがあったのかもしれません。一人遊びが自然と上手になっていったので、「お兄ちゃんがいたらよかったのに!」などと思った記憶はないんですよね。

 もちろん、一人だけではなく友だちとも遊びました。小学生の頃は、放課後によくドッジボールをしていましたよ。でも、バイオリンの練習もしたいから「〇時まで遊んだら帰るね」といつも言うようにしていました。友だちもそれを理解してくれて、逆に「すみれちゃん、もう帰る時間じゃない?」と声をかけてくれることもありましたね。家に友だちを呼んで遊ぶときも何時まで、と時間を決めていました。私は小学生のときからバイオリンのコンクールに出場していたのですが、負けず嫌いだったこともあって、そのための準備をしなきゃという思いが強かったんです。しっかり遊んで楽しみつつ、バイオリンもちゃんとやるというルーティンが自然とできていました。

 いま考えると、自分のやりたいことに集中でき、きょうだいと比べられることなく勉強も音楽もマイペースに取り組めたのは、一人っ子でよかった点なのかもしれないですね。当時は意識していませんでしたが、習い事や送り迎えなど、親が子育てにかけられる時間や費用のリソースを1人だけに全振りできるというのは一人っ子ならではだったなと思います。

 お子さんがきょうだいを欲しがる真意がわかれば、質問者さんのモヤモヤも少しは晴れるかもしれませんね。まずはお子さんに「なぜきょうだいが欲しいのか」、理由を尋ねてみてはいかがでしょうか。

構成/岩本恵美 衣装協力/BEAMS

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