「生徒1人に1台タブレットを」という動きはコロナ禍で加速した。写真は2020年11月、タブレット端末を操作する山口県・防府商工高校の生徒たち

中古品の活用や「お古」融通もできない

 たとえば、香川の県立高校では原則、指定の機種(グーグル・クロームブック)を新品で購入する必要があり、すでに持っている端末を使うことができない。

「制服なら、誰かから譲り受けるとか、リサイクルショップで購入して節約できます。タブレット端末は決められた新品を購入しなければならず、きょうだい間で『お古』を融通することもできない」(前出の福本さん)

 文科省が進める「GIGAスクール構想」の一環として、香川県が1人1台のタブレット端末を高校に整備し始めたのは、2019年度。公費購入ではなく、学校が指定した機種を保護者に購入してもらい、授業で使う「BYAD(Bring Your Assigned Device)」方式だった。同年度、県内の3校がBYAD方式でタブレット端末を導入した。

 だが、翌20年度、コロナ禍で学校の臨時休校が続き、オンライン授業を行う必要に迫られた。国からの新型コロナ対策の交付金を使い、残り26校にタブレット端末をリース契約で整備した。

コロナ禍は明けリース契約も終了、元の方針に戻す

 来年度から公費負担から保護者負担に切り替える理由について、香川県教委高校教育課の佐伯卓哉課長補佐は、こう説明する。

「タブレット端末のリース契約が終了したタイミングをもって、元の方針に戻すということです」

 文科省はタブレット端末について、①マイクロソフト「ウィンドウズ端末」、②グーグル「クロームブック」、③アップル「アイパッド」――このいずれかが望ましいとしている。

「グーグルのクロームブックは他機種よりも若干割安なうえに動作が軽快」(佐伯課長補佐)なことから香川県は推奨機種とした。必要なソフトウェアを業者が一括してインストールし、保守に対応するためにも「指定した機種を購入してもらうことが必要」という。

ほかの自治体も続々

 保護者負担への切り替えは他県でも進んでいる。

 群馬の県立高校では今年度の入学生から、公費負担から保護者負担に切り替わった。個人が所有する端末を学校に持ち込んで使用する「BYOD(Bring Your Own Device)」方式を採用。BYADと比べて端末を購入する際の制約は緩く、機種を問わない学校もある。手持ちの端末がない場合、貸し出しも行われている。

「導入時には国費を使いましたが、数年後にBYODに移行することを当時から想定していました」と、群馬県教委の毒嶌(ぶすじま)章係長は説明する。

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