史上初の「50-50」に到達するだけでもとんでもないことなのに、それをWBC思い出の地で、ポストシーズン進出を決める試合で、「野球史上最高の1日」とまで現地記者に称される形で成し遂げたのだから、アメリカでも野球やスポーツの枠を超えて話題となった。

 レブロン・ジェームズ(バスケットボール)や、パトリック・マホームズ(アメリカンフットボール)といった、米スポーツ界のスーパースターたちは、X(旧Twitter)への投稿で大谷を祝福した。

 スポーツ専門メディアだけでなく、AP通信やCNNなども大谷の「50−50」達成を速報で流し、よほどのことがなければスポーツを取り上げない全米3大テレビ局のニュース番組も、この偉業を報じた。ABCの夜の報道番組では、特に話題になった人や重要な貢献をした人を称える「今週の注目人物」にも選ばれた。

 全米レベルでの知名度を誇るスーパースターがいないと言われてきた近年のメジャーリーグで、もはや大谷は「唯一のセレブ」なのである。

記録にも記憶にも残る男

 満塁サヨナラホームランでの「40−40」達成もそうだが、大谷は「記憶」に残る形で「記録」を作ってしまう。

 優勝がかかったような大舞台、緊迫した試合でより一層、力を発揮し、ファンの心に刻まれるパフォーマンスを見せる。WBCの決勝戦も、そうだった。

 こういった資質を持つ選手は、アメリカで特別な地位を築いていく。

 バスケのマイケル・ジョーダン、アメフトのトム・ブレイディ、ゴルフのタイガー・ウッズなどが、そうである。彼らは、各スポーツで「G.O.A.T (Greatest Of All Timeの略で『ゴート』と発音する)」、つまり「史上最高」と称される存在だ。スポーツの枠を超えて、アメリカ文化そのものの象徴ともされる。

 大谷翔平も、いよいよ彼らと肩を並べるような存在となってきている。

「歴史を作り、世の中に大きな影響を与えるアスリートは、マイケル・ジョーダン、タイガー・ウッズ、そして大谷翔平のように、ほんのわずかしかいない」とドジャースのデーブ・ロバーツ監督は、大谷の「50-50」達成後に語った。(9月19日、EPSN「スポーツセンター」)

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