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 男女を問わず、多くの人が抱えるお腹の悩み。特に便秘は加齢とともに深刻化を増し、心身の健康を大きく左右する。順天堂大学に日本初の便秘外来を開設した腸のスペシャリスト、小林弘幸氏の著書『お腹が弱い人のための30秒腸活』(アスコム)から一部を抜粋し、やる気や幸福感にもつながる腸の働きについて解説する。

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 今、お腹の不調に悩んでいる人は少なくありません。

 マイボイスコム株式会社が2024年1月、約1万人を対象に行った「腸の健康」に関する調査によると、直近1年間に「便秘・下痢、軟便、腹痛、お腹が張る」といった腸の不調を感じた人の割合は、41.4%という結果が出ています。

 また、冒頭のグラフは、厚生労働省が2022年に行った「国民生活基礎調査」に基づき、性別・世代別の便秘の有訴者率を示したものですが、高齢になればなるほど、便秘の有訴者率が高くなっていることがわかります。

 しかも、若い世代では、女性の便秘の比率が圧倒的に高いのですが、高齢になると男女の差がなくなり、80歳を超えると、男性の比率が高くなります。実際、便秘外来で診察をしていても、80歳を超えると、男性の患者さんのほうが多いと感じます。

 なお、有訴者率は、あくまでも自覚のある人のみの割合であり、無自覚の人を含めると、もっと多くの人が便秘という腸の不調を抱えていることになります。
 

お腹の不調は万病のもと

 頻繁にお腹が痛くなったり、便がゆるくなったり、逆に何日も便が出なくなったり、常にお腹が張った状態になったり……。便秘であれ下痢であれ、 お腹の不調というのは、誰にとっても嫌なものです。

 腸の調子が悪いと、どうしても気分がすぐれなくなり、集中力が低下します。好きなものを好きなだけ食べられなくなる、どこに行ってもトイレの場所が気になり、外出するのがおっくうになる、といったことも起こりやすくなるでしょう。

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小林弘幸

小林弘幸

小林弘幸(こばやし・ひろゆき) 順天堂大学医学部教授。日本スポーツ協会公認スポーツドクター。1987年、順天堂大学医学部卒業。92年、同大学大学院医学研究科修了。ロンドン大学付属英国王立小児病院外科などの勤務を経て順天堂大学小児科講師、助教授を歴任。腸と自律神経研究の第一人者。『医者が考案した「長生きみそ汁」』など著書多数。テレビなどメディア出演も多数。

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便秘はあらゆる病気のリスクを生む