ライバルと明暗分けた原樹理
最下位に低迷するヤクルトでは、原樹理が背水の陣を迎えている。東洋大のエースとして、駒大の今永昇太(現カブス)と共に東都リーグを代表する投手としてスカウトの評価を高めたが、15年のドラフト1位でプロ入り後は明暗が分かれる形に。右打者の内角をえぐるシュートなど多彩な変化球が武器だが、好不調の波が激しく先発ローテーションで1年通じて稼働できないシーズンが続いた。22年に自己最多の8勝を挙げてリーグ連覇に貢献したが、昨年は上半身のコンディション不良など状態が上がらず、1軍登板なし。今年はイースタンリーグで26試合登板し、4勝4敗、防御率3.44の成績を残し、8月27日に救援要員で1軍昇格。694日ぶりの1軍マウンドとなった同日の巨人戦では岡本和真に被弾するなど2回1失点だったが、今月5日の巨人戦は1回を三者凡退に抑えた。
「来季に向けて戦力として計算できるかという意味合いも込め、1軍に昇格させたと思います。31歳という年齢を考えると、登板するすべての試合が来季の契約を勝ち取る上で、重要な意味を持つと思います」(スポーツ紙デスク)
スター候補も1軍が遠い平沢大河
野手に目を移すと、ロッテの平沢大河が今季1軍出場なし。仙台育英では打撃で高いミートセンスと俊足強肩を生かした遊撃の守備で「高校№1野手」と評され、15年のドラフト1位指名でロッテと楽天が競合した。甘いマスクで女性人気も高く、ロッテを背負うスター選手として期待されたが、打撃で確実性が上がらず定位置をつかめない。出場機会を増やすために外野を守り、ユーティリティープレーヤーとして活路を見出したが、若手の台頭もあり1軍が遠い。ファームでは主に外野で出場しているが、1軍の外野陣は岡大海、高部瑛斗、藤原恭大が結果を残している。右の大砲として期待が大きい山口航輝、ベテランの角中勝也、荻野貴司、俊足に定評がある和田康士朗も控えている。平沢は打力を上げないと序列をひっくり返すのは難しい。