攻守交替の際に二塁走者・小幡竜平の不自然な動作を指摘する声が中日側から上がり、本塁付近で阪神・中村豊外野守備走塁コーチと中日・工藤隆人外野守備走塁コーチが激しい口論になった。さらに中日・仁村徹、阪神・平田勝男両監督やコーチ陣も参戦し、仁村監督が「お前らがやってんだろうが!」とベルト付近を触り、両足を踏むようなジェスチャーで平田監督に抗議した。

 くしくも阪神は4日前の1軍戦、ヤクルト戦でも近本光司の二塁ベース上での不自然な動作がサイン盗みではないかと疑われ、一触即発の事態を招いたばかり。その余韻もまだ覚めやらぬ時期に、2軍にも騒ぎが飛び火した形だ。

 そんないきさつもあって、平田監督も「(問題になったばかりで)やるわけないやん。絶対にやってないよ」と完全否定したが、両監督の言い争いはなおも続き、首脳陣同士のもみあいに発展。審判が仲裁に入り、3分の中断後、警告試合が宣告されて、試合再開となった。

「李下に冠を正さず」という諺を思い浮かべたファンも多いはずだが、2軍も1軍同様、勝利にかける熱い思いは同じということを実感させられる。(文・久保田龍雄)

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久保田龍雄

久保田龍雄

久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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