収納棚から服があふれ布団が敷きっぱなしだった寝室/ビフォー
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 5000件に及ぶ片づけ相談の経験と心理学をもとに作り上げたオリジナルメソッドで、汚部屋に悩む女性たちの「片づけの習慣化」をサポートする西崎彩智(にしざき・さち)さん。募集のたびに満員御礼の講座「家庭力アッププロジェクト®」を主宰する彼女が、片づけられない女性たちのヨモヤマ話や奮闘記を交えながら、リバウンドしない片づけの考え方をお伝えします。

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case.79 死んだ魚のような目をしていた家族が復活 夫・子ども3人/メーカー技術職

「私、本当に疲れていたんです。育児・仕事・夫との不和と、いろいろなことが重なって、何をするにも踏ん張れなくなってしまって……」

 こう話すのは、3人の子どものママ・みささん。バリバリ仕事をこなすワーママで、残業続きで帰宅が夜遅くなることが普通という生活を送っていました。現代のママはみんな忙しいので、「毎日疲れている」というのは多くの人が持っている悩みでしょう。

 3人目の育休が明けると、みささんの悩みはさらに深くなっていきました。

 復職すると昇進の話があり、仕事量がさらに増加。起業している夫も忙しく、仕事場で寝泊まりする毎日です。同じタイミングで2人目の子どもが癇癪を起こしたり、小学校を行き渋ったりするようになりました。

時間的にも精神的にもパンク寸前となったみささんは、ある日突然、糸が切れたように会社に行けなくなってしまいました。

「子どもの心に寄り添う育児を心がけていたのに、そのときは子どもをかわいいと思えなくなってしまっていました。それが一番つらかったです」

仕事を休職し、みささんはあらゆる手を使って今の生活を変えようと奮闘を始めます。心療内科でカウンセリングを受け、家庭支援をしている行政窓口に相談に行き、解決の糸口を探すべく本を読み漁り、自分と夫の実家にも頼りました。

「家事代行サービスも、便利家電も、とにかく何でも取り入れてみました。それでも暗闇から脱出することはできず、初めて夫と踏み込んで話し合うことにしたんです」

実は、みささんの夫も精神的に限界を迎えていました。あまり文句を口に出さない夫が、「頑張ってくれているのはわかっているけれど、未来が描けない。どうしても家を避けてしまう」と話すほど追い詰められ、離婚話も出ていたのです。

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不満がたまっていた夫