休むと罪悪感があった
その頃、知り合いの医師から、「休むというのは、ラジオもテレビもつけず、すべてをシャットアウトして、ただ横になってぼーっとしたり眠ったりして、『退屈~』と思ったときにようやく疲れが抜けた状態」と教わった。それでも、その後10年は休めなかった。
「休みが怖かったんです。休むと罪悪感がありましたし、休日も映画や習い事などプライベートな用事を詰め込んでいました」
こうした考えがリセットされたのが、コロナ禍。家に長くいるのは、18歳で茨城から出てきてから初めてで、最初は戸惑ったという。ただ、直前まで仕事で3、4時間睡眠の毎日を過ごし、疲れがピークだったため、「ああ、もう5時に起きなくていいんだ、とありがたかったです。休んだら、なんだか細胞が生き返ってくるようで。ようやくラットレースから降りた感じがありました」
自身の不調の経験などをきっかけに2019年、健康と美をテーマにしたオンライン商店「羽田甚商店」をオープン。いつも水筒に入れて持ち歩く「びわ茶」など、自身が試してよさを実感した商品や、自分が長い間欲しかった情報を届けている。
昨年は、舞台の初日に「五十肩」で腕が上がらなくなったり、更年期障害の症状で骨密度の低下にも直面し、くしゃみをして肋骨にひびが入ったりもした。
「その1年前に骨密度を測ったときは正常値だったのに、バタバタっと体にきてしまって。
3年前に父が亡くなって、葬儀の手配や手続きなどで忙しかったり、目が離せなくなった母の面倒を見るようになったり。仕事とケアの両立も始まって。そういう時期だったんでしょうね。誰もが老化するし、体が変化してくる年齢がある。体の変化ともっときちんと向き合っていきたいと思います」
日常での運動は、ジムに行っていない代わりに、「朝飯前のラジオ体操第1、第2って決めてます」。
朝、起きたら窓を開けて部屋の空気を入れ替えて、パジャマのままラジオ体操。その後、洋服に着替えて、洗濯機を回す。
「最初は面倒くさいなと思っていたんですけど、今ではやらないと気持ち悪い。50を過ぎると朝起きたときに腰も足も首もガチガチなんですけど、体も柔らかくなるので、その後の動きがいいんです。けがをしないためにも朝のラジオ体操はおススメですよ」
(編集部・深澤友紀)
※AERA 2024年9月9日号