羽田美智子さん(はだ・みちこ)/1968年生まれ、茨城県常総市出身。映画「RAMPO」のヒロイン役で日本アカデミー賞新人俳優賞受賞。「特捜9」「おかしな刑事」シリーズ、NHK連続テレビ小説「ひよっこ」など多くのドラマ、映画に出演。2019年に羽田甚商店をオープン。(写真:本人提供)
https://hadajinshop.co.jp/
この記事の写真をすべて見る

 ドラマや映画、CMなど、幅広く活躍する俳優・羽田美智子さん。精力的に活動を続けているが、不調に見舞われた時期もあったという。現在はどのように健康と向き合っているのか。AERA 2024年9月9日号の「最強の回復法」特集より。

【写真】健康と美をテーマにしたオンライン商店をオープンさせた羽田さん

*  *  *

 長く愛されてきた複数のドラマシリーズに出演するなど、俳優として第一線で活躍し続ける羽田美智子さん(55)。ただ、30代後半は不眠や微熱が数カ月続くなど、慢性疲労症候群の症状に悩まされた時期もあった。

「不調がないタイプだったので、『自分は大丈夫だ』と過信しているうちに、限界値を超えていたんですね。『神様は不調のとき、3回ノックする』って言うそうですが、振り返ると、2度サインがあったのに、スルーしてしまって……」

 1度目のノックは「不眠」だった。その頃、早朝から約18時間、ドラマの撮影があった。現場では5分に1回は「よーい!」と声をかけられ、緊張状態に入る。その一方で、頭の中は覚えたセリフでパンク寸前。

「常に体は競技に挑むアスリートのようで、頭は勉強を詰め込む受験生のような感じ。とても疲弊していました」(羽田さん)

 それまではベッドに入れば「3秒で寝られていた」というのに、体が疲れているのに寝付けない。眠れないまま朝6時に家を出てまた撮影現場へ。そのような状態が、撮影期間中の約3カ月は続いた。その後、1週間ほど休みがあると、徐々に眠れるようになるが、撮影が始まるとまた不眠に悩んだ。

 2度目のノックは「微熱」。夕方になると体温が37.5度前後まで上がった。のどにも痛みが出た。病院で「風邪」と診断されて薬も処方されたが、治らない。体がだるくて、精密検査を受けたが、数値はどれも正常値。

 微熱が2カ月続いた頃、以前通った漢方内科を久しぶりに訪れると、「どうしてここまで疲れちゃったの。体が悲鳴をあげているよ」と言われた。漢方薬が合い、徐々に体が楽になった。

「ずっとアクセルを踏み続けていると、どこかで急ブレーキをかけないといけないときがやってくる。体のサインを無視して無理を続けると、起き上がれなくなったり、緊急入院したり。3回目のノックのときは、もう重大なお知らせなんですね」

次のページ
休むと罪悪感があった