明治・宗山塁
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 9月に入り来シーズンに向けての話題も増えてくる時期となったプロ野球。中でも大きなイベントはやはり10月24日(木)に行われるドラフト会議だろう。有力候補たちの評価も固まりつつあるが、各球団がまず狙うべき選手は誰になるのか。チーム事情などから探ってみたいと思う。今回はセ・リーグの6球団についてだ。(文中の成績は9月1日終了時点)

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 昨シーズンに続いて苦しい戦いが続いているヤクルト。リーグワーストの防御率を記録していることから、やはり投手を狙うべきではないだろうか。近年も投手中心の指名を続けているが、とにかく故障者が多く、一軍に定着出来ている選手は多くない。昨年1位の西舘昂汰も故障で出遅れている。そんなチーム事情を考えておすすめしたいのが中村優斗(愛知工業大・投手)だ。最速159キロというスピードが話題となっているが、コントロールと変化球も高レベルで決して球が速いだけの選手ではない。

 そして何よりも4年間主戦として投げ続けていながらも、疲労を全く感じさせないタフさが大きな持ち味である。時折不用意な長打を浴びて崩れるのが課題で、プロで早く活躍するには最初はリリーフという印象も受けるが、将来を考えれば先発として十分に投げられるポテンシャルは十分で、本人にとってもチャンスが多い球団という意味でヤクルトはマッチしているのではないだろうか。また中村は抽選になる可能性もあるが、外した場合は中途半端な即戦力を求めるよりも、長く主戦として活躍できるスケールを備えた投手を狙いたい。

 立浪和義監督3年目のシーズンもなかなか浮上のきっかけをつかめなかった中日。今年の成績だけを見れば得点力不足は相変わらずの課題だが、細川成也が主砲として一本立ちし、村松開人、福永裕基、田中幹也なども成長が見られる。一方、長年の強みだった投手陣は高橋宏斗小笠原慎之介以外は先発投手が成績を落としているケースが目立ち、世代交代が必要な状況となりつつある。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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