じっと見つめるうちに、それが別の何かに見えてくる。子どもの頃から鈴木は一貫し、この作業を続けてきた。発想転換こそが彼の創作の源流(写真/葛西亜理沙)

「デジスタ」の番組MCを務めたアートディレクター、元NHK解説委員の中谷(なかや)日出は、こう語る。

「僕は鈴木君の応援団長でした。彼の年代のアーティストになろうとする若者にはない、日本という風土を背負った表現者って感じがしたんです」

「見立て」は、たとえば盆栽などのように、日本の美の系譜として昔から存在する。視覚的なメカニズムがアートというよりも、理科・物理の視点を持っていると中谷は見る。

「僕が見立てた鈴木君は、日本のアーティストとして、日本の魅力が世界から評価されるタイプ。葛飾北斎がパリ万博で評価され、ジャポニズムが生まれたように、彼はメディアアートジャポニズムの旗手。彼の作品には、日本の『わびさび』を感じるのです」

 中でも「見立ての極限」と評するのは、「ファスナーの船」。誰もが感じるかもしれないことを、鈴木はいち早く感じ、カタチにする。「その発想とマインドは、鈴木君の真骨頂だと思います」

(文中敬称略)(文・加賀直樹)

※記事の続きはAERA 2024年9月2日号でご覧いただけます

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