「都心から1時間以上」でも人気の理由

 翻って、2位から先は、都の郊外や近隣県など、都心から1時間以上かかる準郊外エリアが上位を維持している。都心と比較すると、物件の価格に大きな差があり、予算内で購入可能であることも人気の理由だ。一般的な所得の世帯は、こうした準郊外エリアでマンションか戸建てを買う傾向があるという。中山さんは言う。

「都内の物件価格の高騰を受け、ファミリー層を中心に、交通の便や生活利便性の高い準郊外エリアを選択する傾向が強くなりました。コロナ禍とテレワークの広がりで、首都圏の居住ニーズは徐々に郊外化し始めました。昨年は行動制限が解除され、本格的にコロナ後の社会に移行したものの、“都心回帰”の動きはごく一部に限られています。回帰したくても、都心の価格が高すぎて手が届かないというのもありますが、郊外の自治体が、独自の子育て支援策を打ち出していることなども、居住ニーズの郊外化に大きな影響を与えていると見られます」

カギは見合う資金とほしい物件

 家の“買い時”や、ローンの金額に悩んでいる人も多いだろう。住宅購入や住まいのお金に詳しいファイナンシャルプランナーの有田美津子さんは、住宅の“買い時”について、「基本的には“予算に見合う資金があって、欲しい家があったとき”がその人の買い時」だと話す。

 一方で気をつけるべきなのが、資金の心配はなんとなくあっても、「まずは下見に」とマンションや住宅展示場の見学に行き、言葉巧みに営業マンに勧められ、身の丈以上の買い物をしてしまうケースだ。

「すぐには身の丈以上の買い物とは気づかず、教育費の負担が大きくなる時期や、定年退職後にお金が足りなくなって、初めて気づく人が多いのです」(有田さん)

 そうならないためには、何に気をつけるべきなのか。次回は、失敗しない住宅ローンの組み方について、専門家の声をまじえて解説する。

(ライター・松岡かすみ)

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