中古マンションを探す人々
「2013年ごろから、新築マンションには手が出ないと、中古マンションを探す動きが見られますが、現在は23区内の築浅の物件は中古であっても新築並みの値段です。夫婦でペアローンを組み高額物件を購入する人も増えてきましたが、おそらくそれは市場の10%にも満たない少数派。大半は、23区内での購入を希望しながらも、価格が高騰を続ける現在は様子を見て賃貸物件に住んでいるのではないかと見ています」
上の表は、リクルートが2月に発表した「住みたい自治体ランキング」(2024年首都圏版)の上位10位をまとめたものだ。東京、神奈川、埼玉、千葉、茨城の首都圏に居住している人を対象に行った調査だが、依然として高い“23区志向”がうかがえる。
都心6区は突出して高騰
中でも目立つのが、東京都港区を筆頭とした都心6区の人気ぶりだ。このエリアは、投資家や富裕層が資産として不動産を買い増すなどの影響が特に顕著で、23区内でも突出して不動産価格が高騰している。
「23区といっても、“都心6区とそれ以外”では、値段の上がり方が全然違います。また“23区とそれ以外の東京都下”や“首都圏の近隣県”でも、価格が大きく変わってくる。首都圏の不動産は、資産として高額物件を維持したいと考える富裕層と、住まいとして考える実需層とが大きく二極化したマーケットになっています」(井出さん)
「都心一択」は和らいできた
では、“実需”の層は今、どこで住まいを持とうとしているのだろうか。
「コロナ禍を経て、都心一択の動きは和らいできました」
こう話すのは、不動産市況に詳しいLIFULL HOME'S総研副所長の中山登志朗さん。上の表は、LIFULL HOME'Sが今年1月に発表した「買って住みたい街ランキング」(2024年首都圏版)だ。同不動産情報サイトに2023年に掲載された購入物件の、実際の問い合わせ件数を基に集計されたデータで、購入希望者の行動に伴った調査結果ともいえる。
1位の勝どきは、2020年から5年連続で首位。新築マンション価格が高騰しているが、勝どきエリアはすでに竣工している物件が多く、「都心の中でも、価格面、広さ、規模の観点から、優位性が群を抜いている」(中山さん)。