著者最新作『社会という「戦場」では意識低い系が生き残る』

 想像してみてください。

 あなたが、子どもの頃から野球をやっていたとしましょう。中学卒業後、甲子園常連校の野球部に入るまでは良かったが、キツイ練習についていけず、結局、最後の大会で、スタメンやベンチ入りが叶かなわなかったとしましょう。

 これはたしかにきつい経験です。そして悔しさややるせない気持ちに、あなたは圧し潰されそうになるかもしれません。

 しかしここで、「強豪校の野球部の一員であること」をことさら重視して、「俺たちの学校の強さ」を吹聴し、「公立校なんてやっぱダメだよな!」と言い出したらどうでしょうか。

 もちろん悔しい気持ちはわかりますが、このように言ってしまうと、あなた個人の頑張りがむしろムダになってしまうのではないでしょうか。

 人間は弱い部分がどうしてもあるので、ステータスに頼って、自分を大きく見せたくなることはあります。

 そこから飛躍して、そのステータスを持たない人に対して、辛く当たることもあります。
 

 でも、そんなことをしても何の意味もありません。一例を挙げてみましょう。

  • 高卒という学歴はだめ、大学を出ていないと話にならない
  • モテない男は生きる価値がない
  • 子どもがいない人たちは、精神的に成長できない
  • 管理職にならない男は、世の中にはいらない
  • 下級武士にはロクな奴がいない。やはり家柄が大切
  • マンモスと戦えない男はいらない

 もし、こんな風に誰かを落として、マウンティングをしようとしている人を見たら、キツイ言い方ですが「人間としてのレベルが低い」と思ってしまって構いません。

 というのも、大谷翔平やマイケル・ジョーダンが、ネットでくだらない書き込みをしたり、わざわざ誰かを下げる発言をしたりするでしょうか。

 そんな風に他人のことを下げるよりも、どうやって自分がさらにレベルアップできるかを考えているはずです。

 これは、陸上自衛隊でも似たような逸話があります。

 本当に優れた技能と体力・精神力を持った隊員と、教官のお情けで合格にしてもらえた隊員まで、実はレンジャー隊員の中でさえ差がついています。

 こうした序列がつくのは、人間である以上しょうがない部分もあります。

 しかし私の目から見て、本当に優れた隊員ほど「運よくレンジャーになれた」とか「きつかったけど、何とか受かったよ〜」と語ります。

 一方で「お情けでなれたレンジャー隊員」のほうが、どういうわけか、「レンジャーにならないやつは、陸自にいらない」などという発言をしたがります。しかし、実際に他の人に聞くと「あいつは訓練中に号泣していた」とか「泣いていたからみんなで助けてあげた」などの評価をされていることもありました。
 

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誰かを下げても、自分はレベルアップしない