野球観戦で日焼けした肌も、料理を作ってきた手も、すべて自分の証し。その潔さが人々の心を揺さぶる
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 ブランドディレクター・モデル・料理家、亜希。いつ会っても、明るくて朗らか。料理も、ブランドディレクターも、モデルも、すべて100%の力で向き合っている。その明るさは強さに裏打ちされている。幼少期に両親が離婚し、生活は貧しかった。芸能界に入るも、なかなか芽はでなかった。結婚、離婚を経験し、マスコミにも追われた。逆境のときこそ強く生きる。大事な人が幸せでいられるよう、いつも考えている。

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「おまたせいたしました~!」

 その明るい声がキッチンスタジオを夏の向日葵(ひまわり)のようにパッと照らした。雑誌「オレンジページ Cooking」の撮影現場。エプロン姿の亜希(あき・55)は、登場するやいなや、テキパキと手際よく料理を作っていく。メニューは「無水鍋で作る万能カレー」。鍋に玉ねぎとトマトを丸ごと入れる工程でカメラマンから「待って、待って」とストップがかかると「ごめーん、せっかちだから」と大きな笑顔で返す。鶏肉を一枚、豪快に焼きながら「うちでこれをやるとカレー泥棒が出現するのよ。肉を全部、持ってっちゃうの。(次男の)勝児が」と笑わせる。そしてスタジオにたまらなくいい匂いが漂い出したころ、亜希はスタッフたちに言うのだ。

「みんな座ってて? 口だけ開けて待ってて!」

 その姿は、まさに万人の「母ちゃん」だった。

 モデル、ブランドディレクター、料理家である彼女は、元プロ野球選手、清原和博の元妻として紆余(うよ)曲折の人生を隠さない。ともに球児として活躍する長男・正吾と次男・勝児を女手ひとつで育て上げ、息子たちへの豪快な手作り弁当を紹介した著作『亜希の「ふたが閉まるのか?」弁当』は重版出来の人気ぶり。YouTube「亜希の母ちゃん食堂」ではその名のとおり、飾らない母の味のノウハウを披露する。「よい食事が体をつくる」の実体験からタンパク質たっぷりのレトルトカレー「亜希ちゃん印 無水でつくった満足カレー」をパーソナル・トレーニングジムのトータル・ワークアウトと共同開発し、即完売&予約待ちの売れ行きだ。

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貧しかった子ども時代 何もかもが羨ましかった