総裁選の5つのポイント
それを大きく報じていけば、もう一段の政治資金改革を進める原動力になるかもしれない。
そんな中で、筆者が政治資金改革の進め方として提案したいのが、マイナンバーによる改革だ。この話は、週刊朝日時代を含めて、本コラムで5年以上前から何回も繰り返し主張しているものだが、今回の総裁選での争点にしてもらうためにあらためてそのポイントを挙げておこう。
まず、国会議員の歳費(給料)や諸手当、旧文通費などの収入を全部マイナンバーと紐付けた一つの口座に入れることにする。
次に、政治家の全ての財産(銀行預金、証券、不動産、ゴルフ会員権、リゾート会員権、自動車、ヨットなどあらゆる資産)もマイナンバーに紐付けることを義務付ける。紐付け義務違反には刑事罰を科す。
政治資金パーティーは禁止することとし、政治献金については現金でのやり取りを禁止する。
同時に政治資金からの支出は全てキャッシュレス化し、使用履歴の記録を一円単位で毎月公表する。ステートメントそのままでも良い。
資産・収支情報は、税務当局や政治資金所管の部署が閲覧できるようにして、政治資金規正法違反や脱税を積極的に摘発することを宣言する。
こうした提案をどこまで総裁選前に具体的に行うかは難しいところだ。あまり「過激」に見えると、国民の支持は得られても国会議員の支持を得られず、結果的に総裁になれない可能性があるからだ。
しかし、政治資金改革で驚くような公約を掲げれば、他候補を党員票で大きく引き離すことができる。そうなれば、それを決選投票で国会議員がひっくり返すということができるのかというと、今回ばかりは難しいと思われる。そんなことをすれば、自民党全体への支持率が大きく下がり、来秋までには必ず実施される衆議院総選挙で敗北する可能性が高まるからだ。
この公約を掲げた候補が総裁選で勝利すれば、それをさらに具体化した公約を掲げて解散総選挙に挑めば良い。反対する自民党議員は公認せずに刺客を送れば、政治資金改革に反対した議員は必ず落選する。その際、政治資金規正法の規制強化については、立憲民主党の提案を丸呑みすることが望ましいと考えられるが、自民党内であまり過激だと見なされれば、国会議員票がゼロに近づいてしまうので、総裁選ではこの点に触れる必要はないだろう。
ここまで読んだ読者は、こんな公約を掲げることができる候補が自民党にいるのかという疑問を持つかもしれない。