不登校の原因は多くの場合一つではありませんが、「出口」に向かう方法は一つではありません。出口は必ず見つかります
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 3人の子どもの不登校を経験し、不登校の子どもやその親の支援、講演活動などを続ける村上好(よし)さんの連載「不登校の『出口』戦略」。今回のテーマは「不登校を出口に導く3要素」です。

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 7月30日に配信した 不登校と「子離れ」は相性がいい 「やめたい」「行きたくない」と意思表示できたらまずほめて では、私が立ち上げた「オカンの駆け込み寺」への相談事例をご紹介しました。今回も、別の小6女児の相談事例をご紹介しながら、「ことばかけ」「食事」「住環境」を整えるとなぜ不登校が解決していくのか、ということについてお話ししたいと思います。

 今回ご紹介する女の子も、やはり受験期に不登校になり、お母さんが駆け込んでこられました。状況をお聞きすると、なんとなく体調不調が続いているけれど病院に行くと異常はなく、万策尽きてどうしたらいいかわからない、ということでした。

 大事なわが子がつらい思いをしている、その原因は自分にある、と涙ながらに語るお母さん。娘を思うが故に自分を責めていて、精神的にも限界の様子。子どもが不登校になると、「自分のせいではないか」と自分を責めてしまうお母さんはよくいらっしゃいます。でも、いくらお母さんが自分を責めても不登校は解決しません。私はいつも、「責める必要はないですが、子育てを振り返る機会を持ちましょう」と声をかけ、それまでの子育てを一緒に振り返ることにしています。

 このとき、お母さんがおっしゃったのは、大きく3つ。「いままで娘にはネガティブなことばばかりかけていた」「受験期なので親のほうが気を使って、好きなものをできるだけたくさん食べさせていた」「便秘気味の状態が続いている」でした。

 私は、「ことばかけ」「食事」「住環境」の観点から不登校のご家庭にアドバイスしています。わが子3人の不登校の経験や、学校などで続けている不登校支援活動で親御さんや子どもたちからさまざまな話を聞くなかで、学び、実践し、導き出したもので、この3つは不登校と密接にかかわっていて切り離せない、と確信しました。

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村上 好

村上 好

むらかみ・よし/オカンの駆け込み寺代表、JAMネットワーク代表、「ことばキャンプ」認定講師、「まなびのば」代表、ひきこもり不登校支援人材協会認定相談指導員、聖学院中学校高等学校教育相談支援員、中医学養生士、食養生コーディネーター。大手私鉄会社で旅行業、ホテルの営業などを経験後、国際会議運営会社でAPECなど国際会議運営に携わり世界中の人々とかかわるうちに日本の教育のあり方に疑問を持つようになり、自身の子どもが通う学校でPTA改革に着手。2015年に教育団体「まなびのば」を立ち上げる。その後、長男が不登校になった際に出合った「ことばキャンプ」に感銘を受け、このプログラムを提供するNPO法人JAMネットワークの講師を経て2024年代表に就任。2019年からは、中高一貫校で教育相談支援員として不登校のサポートに従事。また不登校を「ことば」「食事」「住環境」の観点からサポートするオカンの駆け込み寺を開設し、不登校解決の支援や講演活動をしている。

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その子に合った接し方や改善策がある