受験期と思春期が重なり、不安やストレスが心身の不調につながった結果、不登校に。こんなケースも少なくありません photo iStock.com/FG Trade

 さて、冒頭でご紹介した6年生の女の子ですが、まずは子どものことばを引き出す声かけを実践してもらい、否定語を使わずにポジティブ変換したことばを使ってもらうようにしました。例えば、「もっと勉強しないと成績が上がらないよ」は「勉強大変だよね。頑張ってるね!応援してるよ」に変換。勉強しないことにフォーカスするのではなく、お母さんはあなたの味方だよと伝えるだけで、子どもは安心感が持てるしやる気が出ます。早くお風呂に入ってほしいときは、「ダラダラしてないでさっさとお風呂に入りなさい!」ではなく「疲れちゃったよね。お風呂に入ると疲れが取れるよ〜!」という具合。これで、親子のコミュニケーションが復活しました。

 次に、便秘です。これまでは下剤を飲んで無理やり出していたそうですが、緊張を取り払う生活を心がけて腸が動きやすい状態を作り、食養生を取り入れて、よくかみ、余計なものは減らしてシンプルな食生活を心がけていただきました。コロッケや、ハンバーグ、パスタなど好物中心の食事に偏っていましたが、野菜を増やして、お菓子も控えめに。朝はパンをやめて、ごはんとおみそ汁などの和食に。これを続けることで、快便になりました。

 最後に住環境。できるだけ換気をし、空気の循環を促す。柔軟剤や除菌スプレーなどの香りに敏感なお子さんは一定数いて、それが不調の原因になっていることもあるので、こうした化学物質にも気をつけてもらいました。できれば掃除もこまめに、とアドバイスしました。

 こうして、「ことばかけ」「食事」「住環境」に複合的に、継続的に取り組んでもらうことで、この女の子は徐々に元気になっていったのです。

 当初は受験も諦めたほうがいいのでは、と思っていたそうですが、本人のやる気が出てきて集中力も上がり、最終的には第1志望の学校に見事合格しました。受験期と思春期が重なり、不安やストレスが不調につながっていることが大きな原因だったのかもしれませんが、何よりお母さんが3つの要素をすぐに実践し、継続したことが結果につながったのだと思います。

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多角的な視点を持てば打つ手はある