このお子さんは受験が終わったころから学校にも行けるようになり、卒業式にも無事に出席。中学校に進学後も部活に励み、頑張って勉強している、とうれしい報告をいただいています。「ことばかけ」「食事」「住環境」への取り組みも、ゆるく継続されているとのこと。そう、ゆるいくらいでいいんです。

 多くの子どもたちと接する際に「朝ごはん何食べた?」「昨日の晩ごはんは何だった?」と聞くことが多いのですが、「何も食べてない」「菓子パンとジュース」「コンビニ弁当」などと答える子が多いことがいつも気になっています。もちろん、ご家庭によってさまざまな事情がありますので、いつもいつも一汁三菜を手作りで、すべてオーガニック食材で、などと言っているわけではありません。ただ、糖類などの大量摂取は血糖値の乱高下の原因になり、精神が不安定になる要素にもつながることがわかっていますので、気を付けたいところです。

 私自身も支援をしながら学び続けています。不登校のお子さんと向き合っている親御さんには、ことばかけはもちろん食事や住環境の観点からも打つ手があるということを頭の片隅に置いていただければと思います。多角的な視点を持つことで、自分を責めずに済みますし、肩の荷を少しだけ下ろすこともできます。このことを、忘れないでいただきたいです。

 最終回となる次回は9月3日配信。不登校を経験したからこそできること、そして、将来の可能性についてお話ししたいと思います。

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村上 好

村上 好

むらかみ・よし/オカンの駆け込み寺代表、JAMネットワーク代表、「ことばキャンプ」認定講師、「まなびのば」代表、ひきこもり不登校支援人材協会認定相談指導員、聖学院中学校高等学校教育相談支援員、中医学養生士、食養生コーディネーター。大手私鉄会社で旅行業、ホテルの営業などを経験後、国際会議運営会社でAPECなど国際会議運営に携わり世界中の人々とかかわるうちに日本の教育のあり方に疑問を持つようになり、自身の子どもが通う学校でPTA改革に着手。2015年に教育団体「まなびのば」を立ち上げる。その後、長男が不登校になった際に出合った「ことばキャンプ」に感銘を受け、このプログラムを提供するNPO法人JAMネットワークの講師を経て2024年代表に就任。2019年からは、中高一貫校で教育相談支援員として不登校のサポートに従事。また不登校を「ことば」「食事」「住環境」の観点からサポートするオカンの駆け込み寺を開設し、不登校解決の支援や講演活動をしている。

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