メジャー通算755本塁打を記録した強打者、ハンク・アーロンにちなみ、“アーロン”と呼ばれたのが、中京(現中京大中京)の3番・栗岡英智(元中日など)だ。 

 軽く100メートルは飛ばす豪快なバッティングから、ナインに命名されたのだが、78年夏の甲子園でも連日豪打ぶりを発揮する。

 3回戦の箕島戦、2対4の8回1死一、二塁で、左越えに起死回生の逆転3ラン。準々決勝の天理戦でも、2対0の3回に大会史上14人目の2試合連続弾を放ち、“アーロン旋風”を巻き起こした。

 準決勝のPL学園戦でも、2対0の8回にゴロで外野を抜く三塁打を放ち、犠飛で3点目の生還をはたしたが、4対0と勝利目前の9回裏に追いつかれ、延長12回サヨナラ負け……。“逆転のPL”の名が定着するきっかけとなったまさかの幕切れに、アーロンと呼ばれた男は「まだ終わった気がしない。次の試合があるような気がする」の言葉を残して甲子園を去った。

 今では「栗岡英智 アーロン」で検索してもなかなかヒットしないが、当時を知る年輩のファンなら覚えている人も多いはずだ。(文・久保田龍雄)

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