同僚から軽くみられる
会社は、新卒の正社員には電話の受け方、かけ方からコピーの仕方まで教えますが、派遣は即戦力であり、適応力が求められます。正社員は就業時間内にTOEICの勉強をしていましたが、私は就業時間後にプライベートの時間を削って自費で勉強するわけです。そうやって働きながら、たくさん資格を取りました。でも派遣元から「たとえ弁護士の資格を取ったとしても、派遣だから正社員にはなれませんよ」とはっきり言われました。どう頑張っても「派遣だから」と評価されない。理不尽で頭にきました。
他部署の方が亡くなった時、香典を渡しました。正社員の同僚には香典返しがあったのに、私にはなく、同僚からも軽くみられている。そんな話をツイッターに投稿したら「私もそうだよ」という悔しい経験がたくさんリツイートされました。結婚した同僚にみんなでお祝い金を包むのに、非正規には包まない、飲み会に誘われない、お土産のお菓子をもらえないとか。差別されて嫌な思いをしている人がいかに多いか。派遣社員という雇用形態によって、差別が合法化されていることを日々実感していました。雇用形態の格差は、身分格差だと思いました。
好きで派遣を選んだんだろう、文句を言うな、嫌なら正社員になれ、自己責任だと言われることがあります。能力がないから派遣なんだとも言われます。でも、不本意就労を余儀なくされた人もいるんです。
(構成/編集部・井上有紀子)
※AERA 2024年8月12日-19日合併号より抜粋