岩崎は次打者を3球三振に打ち取り、ピンチを切り抜けたが、8回に1点を失い、5対2の9回にも連打で無死一、二塁のピンチを招く。

 ここでレフトに回った野村が再登板すると思われたが、中村監督はマウンドに伝令を送り、「まだ3点あるからな」と励ましてくれた。

 気合を入れ直した岩崎は、4、5番を連続三振。そして、最後の打者をショート・立浪和義(現中日監督)へのゴロに打ち取り、春夏連覇の偉業が達成された。

 チームが1回戦を勝ち抜いた直後、練習中に打球を顔に受け、目の周りに大きな痣ができた岩崎は試合前、「テレビにこの顔が映ったら恥ずかしいな」と照れていた。だが、優勝投手になった瞬間、そんなことなどすっかり忘れて、歓喜のガッツポーズ。その姿が背番号7とともにテレビ画面一杯に映し出された。(文・久保田龍雄)

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久保田龍雄

久保田龍雄

久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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