岩崎は次打者を3球三振に打ち取り、ピンチを切り抜けたが、8回に1点を失い、5対2の9回にも連打で無死一、二塁のピンチを招く。
ここでレフトに回った野村が再登板すると思われたが、中村監督はマウンドに伝令を送り、「まだ3点あるからな」と励ましてくれた。
気合を入れ直した岩崎は、4、5番を連続三振。そして、最後の打者をショート・立浪和義(現中日監督)へのゴロに打ち取り、春夏連覇の偉業が達成された。
チームが1回戦を勝ち抜いた直後、練習中に打球を顔に受け、目の周りに大きな痣ができた岩崎は試合前、「テレビにこの顔が映ったら恥ずかしいな」と照れていた。だが、優勝投手になった瞬間、そんなことなどすっかり忘れて、歓喜のガッツポーズ。その姿が背番号7とともにテレビ画面一杯に映し出された。(文・久保田龍雄)