北海道への旅行も実現(写真:SPIあ・える倶楽部提供)

少しのサポートあれば

 前出の山崎さんは言う。

「高齢者の旅行を計画したら最初にすべきは、親の体の状態を把握することです。その上で親が安全に泊まれる宿であるかを電話で確認しましょう。入浴介助が必要なら、サービスの有無を尋ねてください。そうした電話での対応で、宿のスタンスがわかります。そっけなく終わるか、親身になってくれるかで、滞在中に寄り添ってくれるかがわかります。少しでも不安を抱いたら、やめておきましょう。仮に、受け入れ慣れている宿であれば、宿の方から滞在中の提案もしてくれますよ」

 ポイントは「ありのままに話すこと」だという。要介護度を低めに言うのは避けて、親の体の状態(歩行や排泄などADL=日常生活動作のレベル)を正しく伝える。さらに自分の介助力も添えると良いだろう。

 旅行先に「旅行介助士(R)」を派遣する「日本介護旅行サポーターズ協会」(通称:リョコサポ)の代表理事で、介護事業に特化したコンサルティングを行う糠谷和弘さんはこう話す。

「高齢者に優しい宿を見極めるのは非常に難しいし、宿側に介助を期待するのも厳しい。介護福祉士が宿に常駐しているというのも聞いたことがない。しかしその一方で、実際にはちょっとしたサポートがあれば旅行に行ける人って、たくさんいるんです。そういう人は、旅行介助士同行による終日介助ではなく、入浴、食事、移動、乗降などの場面でスポットでの介助を依頼することでコストも抑えられます」

 別れてからでは遅すぎる。さぁ、親を旅に連れ出そう。(記者/介護福祉士・大崎百紀)

AERA 2024年8月5日号

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