伊豆・天城湯ケ島温泉を楽しむ男性。トラベルヘルパーが支える(写真:SPIあ・える倶楽部提供)

 東京都町田市の高齢者施設に入居する102歳の女性は、5月に70代と80代の娘と神奈川の湯河原温泉に1泊旅行をした。介護福祉士の資格を持つ涌井かおりさん(茨城県在住)も同行。涌井さんは普段は有料老人ホームで働いているが、登録している介護旅行サービス「あ・える倶楽部」からの要請で、トラベルヘルパーとして同行した。

「娘さまからのご要望は、親御さんを源泉かけ流しのお風呂に入れてあげたいということと、施設ではなかなか食べられないお刺し身などを食べさせてあげたい、の二つでした」(涌井さん)

 女性は宿につくなり、「温泉に入りたいわぁ~」と声を上げた。涌井さんの入浴介助を受けながら温泉に入り、「あぁ気持ちがいい」と言った。

同行の家族も旅を満喫

 トラベルヘルパーは依頼者の要望に沿って、必要な介助を行う。今回、涌井さんは食事や歩行、移動の介助、見守りなどを中心に業務を行った。夜間は排泄(はいせつ)介助をするため同じ部屋に泊まった。娘たちは安心して温泉も食事も楽しんでいたという。

 老親との旅での心配は、転倒や移動の問題だ。公共交通機関や宿泊施設でハード面のバリアフリー化が進んできたとはいえ、何が障害になるのか、行ってみなければわからない面も多い。「バリアフリー施設」とうたっていても、実際は一部であり、肝心の客室のトイレなどに段差があることも。そんなときにトラベルヘルパーが頼りになる。

 跡見学園女子大学兼任講師(観光温泉学・観光取材学)の山崎まゆみさんは、「現場での彼女らの対応力にいつも感心しています」と話す。たとえば大浴場。フロアに滑り止めマットがないことがわかると瞬時にバスタオルを下に敷くなど、福祉用具がない場面でもそこにあるもので安全・安心に介助する。

「トラベルヘルパーに同行してもらうことで、介護の不安も軽減され、安全も担保されますので、同行のご家族も旅を満喫できます。高齢者は骨折を機に寝たきりになってしまうリスクもありますから、冷や汗をかかずにすみます」と語る。

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