そのブラジル代表において、OA枠メンバーの“豪華さ”で言えば、1996年のアトランタ五輪の方が上だった。23歳以下にGKジーダ、DFロベルト・カルロス、MFジュニーニョ・パウリスタ、FWロナウドなどがいた中で、マリオ・ザガロ監督はOA枠としてDFアウダイール、MFリバウド、FWベベットの3人を招集。リバウドはまだバルセロナ加入前の24歳だったが、アウダイールは30歳、ベベットは32歳で、ともに2年前のW杯アメリカ大会での優勝メンバーであり、まさにドリームチームと言えるチームが完成した。しかし、グループリーグ初戦で日本に“マイアミの奇跡”で黒星を喫すると、準決勝でナイジェリアに延長戦の末に3-4で敗れて金メダルならず。3位決定戦ではベベットが3得点を決めてポルトガルを5-0と一蹴して銅メダルを獲得したが、国民は納得しなかった。

 そのブラジルを倒した1996年のアトランタ五輪のナイジェリア代表は、非常にインパクトがあり、史上最強と言っていいチームだった。23歳以下にDFセレスティン・ババヤロ、MFサンデー・オリセー、MFジェイジェイ・オコチャ、FWティジャニ・ババンギダ、FWヌワンコ・カヌーと個性豊かな面々を揃えた上で、OA枠として1994年のW杯アメリカ大会ベスト16メンバーのDFウチェ・オケチュク、MFエマニュエル・アムニケ、FWダニエル・アモカチの3人を加えた。そして準決勝でブラジルを倒した後、決勝ではエルナン・クレスポやアリエル・オルテガ、ディエゴ・シメオネ、ハビエル・サネッティらを擁したアルゼンチンを相手に、アモカチが同点弾、アムニケが逆転弾を決めて3-2で勝利。歴史に残るアフリカ勢初の金メダルを獲得した。

 話題性では、2012年ロンドン五輪のイギリス代表も触れておきたい。W杯やEUROでは、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドに別れて敵対している中で、自国開催のロンドン五輪では「イギリス代表」として合同チーム結成(実際はイングランド13名、ウェールズ5名の構成)した。23歳以下にMFアーロン・ラムジー、FWダニエル・スタリッジらがいた中、OA枠としてマンチェスター・Uの伝説的ドリブラー、元ウェールズ代表の38歳ライアン・ギグスを招集。さらにDFミカ・リチャーズ、FWクレイグ・ベラミーの2人も加えた。だが、ギグスが主将を務めたチームは、グループリーグこそ2勝1分けの首位突破を果たしたが、決勝トーナメント1回戦で韓国に1対1からのPK負け。ギグスはグループリーグで1得点を決めたが、力及ばず早期に大会から去ることになった。

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“世界最強2トップ”が参戦したのは?