この記事の写真をすべて見る

 Z世代の女性向けエッセイ投稿サイト「かがみよかがみ(https://mirror.asahi.com/)」と「AERA dot.」とのコラボ企画は第3弾。「わたしと『父親』」をテーマに、エッセイを募集しました。多くの投稿をいただき、ありがとうございました。
 投稿作品の中から優秀作を選び、「AERA dot.」で順次紹介していきます。記事の最後には、鎌田倫子編集長の講評も掲載しています。
 ぜひご覧ください!

*   *   *

今年63歳になる父親を対外的に説明するとき、いつも私は言葉に窮する。

厳格で真面目、頑固と言えばその通りだし、お茶目で柔軟、陽気と言えばそれもその通りだからである。簡単に言ってしまえば、厳格とお茶目を高速で反復横跳びしているような人なのだ。
 

◎          ◎ 

反復横跳びのエピソードは事欠かない。
小さなころから、夕食時に見られるテレビと言えばNHKだけ。ゲームもYouTubeも許されていなかったし、携帯電話も私たちの世代では珍しく高校生になってから。大学受験で失敗して、浪人するかどうかを決める家族会議で私が少しでも学歴至上主義的な片鱗を見せると、「そんな嫌な人間になるくらいなら、大学など行かず一度社会に出るべき。余りにも社会を知らなすぎる」と一喝された。普段は大学教員として哲学や法学を教えていて教員然としているため、父と会った私の友人たちは「まよのお父さんって厳しくて怖いよね」といつも噂する。これが父の厳格のエピソードの一部である。

暮らしとモノ班 for promotion
防犯・災害対策の準備はいかが?最大50%オフのAmazonの安全・セキュリティグッズ売れ筋ランキング
次のページ